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32日間かけて、スペイン巡礼フランス人の道を歩きました!

【1日目】スペイン巡礼 〜Roncesvalles⑴

2017/06/04

初日。

5時半に起床し、予約しておいた朝食を6時半にとるために下のダイニングにおりていくともう既に何人かのグループが朝食を食べていた。
 
クロワッサンにソーセージ、フルーツ。次に何時頃食事が取れるかわからないから、とりあえずたくさん頂いておいた。
 
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同じテーブルで食事をとった2グループは偶然にもアメリカ出身だった。峠越えを目指すグループと、迂回してハイウェイを行くグループ。まったく想像もつかないお互いの行程に、不安と興奮でいっぱいだった。
 
先に失礼して、出発の準備に取り掛かった。「早く出発しなくちゃ、夕方までに辿りつかない」「宿がなくなったらどうしよう」と、下調べしすぎて余計な不安だらけだった。
 
宿を出かける直前、同じ宿に泊まっていた女性と一緒に出発することになった。”町を出てから山の入り口がわかりにくい”と巡礼事務所でもらった地図に書いてあったし、旅のお供がいる方が安心かもしれない、と思った。
 
6時半、宿を出ると外は案の定、雨だった。
 
中世の街並みを残しているかのような石畳の道を下り、時計塔がある門を潜ると、山へ向かう車道に出た。町を出た途端にゆるい上り坂が始まり、ここから頂上までひたすらの登りが続くのだった。
 
霧雨のような雨が降っていた。道も草木も雨に濡れて青々と生き生きしていて、そこにある風景はまさに日本の田舎の村と変わらなかった。空気もしっとりと、本当にまるで日本の6月を田舎で過ごしているかのような気分だった。
 
 
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しばらく車道がき、いよいよ傾斜もきつくなりはじめた頃、周りは広々とした牧場のような地帯になってきた。ポツポツとあった家もなくなり、完全に山を登り始めた。急な斜面に無理やり作ったヘアピンカーブのコンクリートロードをひたすらに折り返し折り返し登ってゆく。気づくと折り返し歩いてきた山下の道に、雲がかかっているのが見えた。知らぬ間に、雲の中を歩いていたようだ。
 
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そして、ついに道は”牧場の中”に入った。コンクリートだった道路も舗装されていないぬかるんだ泥の道になり、ついには家畜の糞だらけになった。ここからの道が本当にきつかった。傾斜もきついが、何しろ足場が悪く大きな石が多くて歩行が安定しない。そして糞尿のものスゴイ悪臭。息が切れ切れに、時に這いつくばって登る人間たちを、柵の向こうの牛たちがのんびりと眺めていた。時々尻尾を左右に振るが、私たちに対して興味があるようではなかった。
 
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多めに休憩をとりながら進んだ。他の巡礼者たちも、カーブのたびに水をのみ、下を眺めては、また上を眺め、「あとどれくらいこの道が続くんだろうか」と途方にくれたりしていた。
 
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出発してから3時間後、最初で最期の休憩地点のOrisson村についた。バーを併設したアルベルゲになっており、峠を越える巡礼者にとっては最期の水分補給地点となっていた。体力に自信のない人はここのアルベルゲに泊まって、翌日一気に峠越えをするそう。アルベルゲはインターネットでも予約が可能(英語サイトあり)だが、常に混んでいるので予約は早めにしたほうがよいとのこと。
 
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宿を一緒に出発した女性と一緒に、気合い入れのコーヒーを飲むことにした。砂糖をいっぱい入れて、糖分を補給。休憩をとっていた5分のうちに、続々と巡礼者が到着し混み合ってきた。つかの間の休息後、峠越えに向けて重い腰を上げた。が、わたしたちはバックパックから雨合羽を引っ張り出す必要があった。
 
外は見事に真っ白だった。霧雨も、水滴を十分に感じられるほどの雨になっていた。まさか初日からレインコートを使うことになるとは思ってもみなかったが、これもあたえられた試練。初めて使う真新しいレインコートは、自分一人で着ることさえ難しく、早速旅の相棒に助けられ、そして私も彼女のレインコートのボタンをはめてあげた。
 
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道は、泥んこの悪臭ロードからまたコンクリートに戻り、引き続きヘアピンカーブが続いた。今まで歩いてきた道が遥か下のほうに見えた。霧と雨で、あたりが暗くなってきた。このまま峠を越えられるかどうか不安になってくるが、もう最後の村を出発してしまった以上、越えるしかないことは明らかだった。
 
あたりは徐々に高い草木がなくなり、下草が広がる高原のような景色になってきた。霧の中でもわかるほど青い草原の先に、白い雲に覆われた空が広がっていた。もうだいぶ高いところまで登ってきたんだと感じた。道は驚くほどきれいに整備されたコンクリートの道路で、道の先は霧の中に消えて、次にどれくらいでカーブがくるのかわからないほどだった。気づかなかったが、宿から一緒に歩いてきた女性も、いなくなっていた。重いバックパックが肩にのしかかり、肩のじんじんと痛くなっていた。足もクタクタで、気力だけで足を前に出しているようだった。「疲れた」「痛い」と嘆く気力もなくなってきて、ただただ無心で足を前に進めた。
 
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そして巡礼事務所でもらった地図の通り、峠を越えるためにコンクリートの道を右方向を目指すポイントにさしかかった。霧の中でこのまま見つけられずに迷ってしまったらどうしようと思ったが、なんとか無事に進むべき方向に足を進めることができた。先人の巡礼者たちが道を踏み固めてくれているおかげで、草原の中に草の生えていない巡礼の道ができていた。ありがとう。それに沿って、最後の岩を上り詰めると、「おそらくここが峠のてっぺんではないか?」と思われる地点を通過した。晴れていれば、そこから素晴らしい峠の景色が見えたのではないかと思うが、あたりは数メートル先がもう見えないほどの濃霧。残念だけど、これも試練...と自分を納得させるしかなく、そそくさと峠を越えて、下りの道にさしかかった。