スペイン巡礼 フランス人の道 30代ひとり旅

【女性ひとり旅】32日間かけてスペイン巡礼フランス人の道を歩き、マドリッドで「暮らすように旅をする。」を実践。質問あれば、お気軽にどうぞ!

【17日目】スペイン巡礼 〜El Burgo Ranero

カミーノ・デ・サンティアゴ

2017/06/20

スペイン巡礼17日目

 
夜が開ける前に宿を出る。次の村まではわりと距離があった。農地の中の小道を進む。背の高いススキのような植物に阻まれながらも、夜明け前の薄水色の空を眺めなら散歩するような気持ちだった。昨日の気の遠くなるような長距離をこなせた自分に自信がついたようだ。
 
今日はレオン州に入る。ついにカミーノも半分まできた。長かったようで、もう半月も歩いているなんて信じられないような・・。毎日必死に歩いてきた。
 
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3時間ほど歩くと、SAHAGUN(サーグン)という町が遠くに見えてきた。ここは比較的大きな町で、牛追い祭りでも有名な町。パンプローナ牛追い祭りで有名な本場だが、スペインには他にもいくつかそういった有名な町があるそうだ。
 
サーグンの町中まで、大きな車道がまっすぐに伸びている。が、なぜかホタテマークと黄色い矢印は、道を逸れて右の方向を指していた。ん?右に進むと明らかに農地の真ん中を通るルートに行くようだ。サーグンの町に行くなら遠回りになる。
 
さらによーく見ると、道路のコンクリートに直進の方向を指した矢印が消された後がある。どっちにいったらいいんだろう。迷っていると、おじさんの巡礼者が、「右に行くのは新しい迂回ルートだ。あっちに教会があるんだよ。けど、教会に寄らずにサーグンの町に行くならこっちのまっすぐな道がいいよ。」なるほど。
 
おじさんについてまっすぐのルートを行くことにした。しばらく歩いて振り返ると、さっきのポイントでやはり巡礼者が一度止まって地図を見返したりしている。推測だが、迂回ルート上の教会に巡礼者を訪れさせようと、新しくカミーノルートを修正しているようだ。
 
町に近づくにつれて、なんだか町が閑散としていることに気づく。車の整備工場や、車が置かれていない車の販売店などが立ち並んでいるが、建物が古く寂しい雰囲気だ。もちろん人気もないので、ゴーストタウンのよう。大きなホテルもあったが、パーキングには大きなバスが1台駐車しているだけ。とても牛追い祭りで賑わうとは思えない。
 
町の中心地に入ると、牛追い祭りの準備なのか、通りに柵などの準備がされているようだった。残念だが、祭りは今日ではないようだ。が、祭りがあったとしても、なんだがこの町に滞在する気は起きなかった。
 
巡礼者で賑わっているカフェがあったので、ここで朝食をとることにした。日本にあるパン屋さんのように、美味しそうなクロワッサンやサンドイッチや菓子パンなどがガラスケースに並んでいた。大きな揚げパンと、カフェコンレチェをオーダー。お店の女の人はとても愛想がよく、店が混み合っていることを詫びて、笑顔でオーダーを取っていた。日本の接客サービスのようで、なんだかホッとした。
 
サーグンの教会では、距離の証明書を発行してくれる。フランス人の道でいうと、ちょうど半分あたりなので、「半分歩きました」という証明になるようだ。入り口で3ユーロ寄付すると、中で証明書を発行してくれるそう。なんだか途中で万が一歩けなくなったときの保険のようで、私はパスした。
 
サーグンを出発すると、道が二手に分かれる。一方の道を行くとBercianosという村につき、もう一方に進むとCalzadillaという村につく。前者は比較的整備された道を進み、後者は整備されていない農地の中をゆく道だ。
 
私は前者をゆくことにした。 高速道路沿いの道をひたすら進む。こちらの道の特徴は、とにかく面白いものが一切ないということ。景色も代わり映えない、コンクリート道路。途中、高速道路の高架下の日陰で休憩し、また何もない道を歩く。こんな日もある。
 
今夜はEl Burgo Raneroという村に泊まることにした。最初に選んだAlbergueはすでに数人が受付待ちをしていた。大きな庭があって、プールもある。よさそうだ。受付が始まると管理人が出てきたが、スペイン語でわめき散らし、なんだか怒っているようだ。一人の巡礼者がスペイン語で話しかけるも、相手にしていない。様子がおかしいことに気づいた巡礼者の数名は、ここのAlbergueをやめて他のところにいくことにした。もちろん私もそのうちの一人。雰囲気の悪いところで一晩も過ごしたくない。
 
次に選んだのは、公共のアルベルゲ。こちらもオープンまでにあと1時間ある。バックパックを置いて、受付を待つことにした。ちょうど道の反対側に商店があったのでビールとスナックを買って、アルベルゲの前のベンチでランチにした。ベンチの下には猫がのんびりと昼寝をしていた。日差しは強いがおだやかな午後。
 
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アルベルゲがオープンすると、ボランティアの女性達が受付をしてくれた。ここは藁が混ざった土壁の古い建物で、ものすごく質素な作りだった。正直心配ではあったものの、女性達の親切な対応で、ここにしてよかったと心底思った。1階は広いダイニングとキッチンがあり、二階に寝る部屋があった。二段ベッドに案内されると、その建物の簡易的な作りに驚かされる。室内の壁ももちろん土壁なのだが、天井は木材の柱がむき出しで、天井というより屋根だった。もちろん冷暖房の設備はないのだが、こんなに外は日差しが強いのに、中はそこまで暑くはなかった。土壁のおかげなのかな?
 
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夕方、ヨガのインストラクターもしているという女性が、みんなで瞑想をしようと呼びかけてくれた。ダイニングのテーブルと片付けて、下に毛布を敷いて座り、みんなで瞑想をした。瞑想のあとは、一人ずつカミーノに来た理由や、歩いてみて感じた気持ちなどを話した。「誰も否定しない」のが、たったひとつのルール。
 
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みんなカミーノに来た目的は、ほんとにそれぞれ。リアルドラクエ的アドベンチャーを求めてきたわたしも、スピリチュアルな体験がしたくて来た女性も、家族と楽しい旅行がしたくて来た親子もみんなこの道のおかげて今日こうやって出会えた。そしてこの時間を共有している。一期一会ってこうゆうこと。
 

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