スペイン巡礼 フランス人の道 30代ひとり旅

【女性ひとり旅】32日間かけてスペイン巡礼フランス人の道を歩き、マドリッドで「暮らすように旅をする。」を実践。質問あれば、お気軽にどうぞ!

【16日目】スペイン巡礼 〜Moratinos

カミーノ・デ・サンティアゴ

2017/06/19

スペイン巡礼16日目

 
あの夢のようなパレードの翌日、今日はある意味覚悟の1日だった。というのも、出発してから18km先まで村がないのだ。
 
18km…想像もつかない。地図を見る限り、本当になにもない。道をそれて寄り道もできないほど、なんにもない大地。恐ろしい・・・。
 
気合を入れて出発した。だが、昨日あんまり歩かなかったのにもかかわらず、膝の調子がよくなかった。膝の軟骨がなくなってしまったかのように、歩くと振動が直接骨に伝わりズキズキした。
 
MESETA(メセタ) …それは「何もない大地」。そうだ、これこそがメセタだ。想像通りのメセタ。ほんとうに何もなかった。
 
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地平線の向こうまで、広野が広がっている。渇いた草の生えた草原。まるでサバンナのようだった。一つ違うのは、動物が一頭もいないところ。動物が寄り付かないくらい、水場がなく、渇いた大地だった。時々、枯れた木が命からがら立っているのが遠くに小さく見えた。
 
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一本道には、巡礼者が点々と歩いていた。みな、だまって、一本道の先を見つめながら黙々と歩いていた。スペイン巡礼というとこういうイメージたった。渇いた大地の一本道を一人で歩きながら、ひたすらに自分を向き合う・・みたいな。
 
でも実際は暑くてそれどころではない。どうやったら疲れずに膝を傷めずに歩けるか、あと何kmで次の村に着くのか、ついには、暑い、疲れた、喉乾いた、休みたい・・・もうシンプルな欲しかない。生きるための欲。ある意味、本当にシンプルになってきているなぁと感じる。
 
そして、ついに18kmという長い距離の欲との戦いに勝ち、地平線の先にやっと次の村Calzadillaの教会の屋根が見えてきた。近づくにつれて、村の全貌が見えて来る。ここでもやっぱり村の入り口のカフェに、もはや駆け込むように入った。まずはトイレにいってから、カウンターでカフェコンレチェとトルティージャをオーダー。
 
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このカフェのテラスで食べた、ここのトルティージャが、今回の旅の32日間の中で一番美味しかった。じゃがいもやほうれん草などの具がたくさん入っていて、周りはよく焼けているのに、中がトロトロで今まで食べたことがない食感とボリュームだった。まさに家庭の味。疲れすぎていて、写真がないのが残念だった。
 
もうここに泊まってしまおうか、とやりきった感がいっぱいだったが、次々と出発していく巡礼者に感化され、重い腰を上げた。
 
メセタを抜けると、静かな車道沿いの道に出た。見慣れた青い花が咲き、いつもの調子を取り戻した。7、8kmほど歩き、目的地のTerradillosという村に着いたが、なんとなく雰囲気が怪しく、ぱっとしない。みつけたAlbergueはオープンしているようだが、人気がない。庭もテラスもあるようだが、ウロウロしていると、中から巡礼者数人がぶつくさと言いながら出てきた。
 
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事情を聞くと、「ここのアルベルゲはよくない。wifiもないようだ。きみも次にいったほうがよい。」という。やっぱり。なんだか雰囲気が良くないと思っていたが、みんなも感じていたようだ。もうヘトヘトだったが、みんなに少しスナックをもらい、お水を満タンにして、出発した。
 
こっからもやっぱり日陰のない、農村の道だった。数人で出発したが、みんなのペースが速くて、置いて行かれた。こういったとき、巡礼者は他人のペースに合わせたりしない。そこが私にとっては気軽だった。もう少し先の村まで行こうと思ったけど、風が強く、Moratinosという村でストップすることにした。村、といってもバー兼Albergueが一件しかない。
 
新しくてきれいな建物で、こんな草原の真ん中に建っているのが少し違和感があるほどだった。でも私にとっては、砂漠にみつけたオアシスの宮殿のようだった。受付をすると、すぐにもう一人巡礼者が入ってきて、彼女によるともう次の村のAlberugueは全て満室らしく、この村でストップしたそうだ。よかったー。ケータイが使えない私にとって、歩いているときはそういった情報が手に入らないので、いつも運に頼るしかなかった。
 
案内された部屋は、まるでホテルのようなきれいさだった。巡礼中に泊まったAlbergueの中では、ここがダントツ一番だった。だからこんな辺鄙な場所にあるのに、宿泊料も少し強気だ。(といっても10ユーロくらいなんだけど・・)
 
可愛らしい白い壁の部屋に、シングルベッドが2つと二段ベッドが1つ。私が1番だったので、迷わずシングルベッドを選んだ。マットレスが厚くて、ふかふか。だけど、もちろんその上に寝袋を敷いて寝る。シャワールームもホテルのような設備で、きれいだった。1階にはリビングルームもあり、大きな白いソファーがあり、ライブラリーもあったので、くつろぎながら本を読むこともできた。なんて素敵な環境!午後はここでゆっくり過ごすことに決めた!
 
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シャワーを浴びたら、1階のバーのテラスでビール!うんまい!よく歩いた1日だったので、ご褒美は格別だった。庭には芝生もあり、まだ先に進むつもりの巡礼者も靴を脱いでくつろいでいた。バーに立ち寄る巡礼者に、「ここの宿は最高だよ!」とおすすめをした。
 
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宿にはキッチンがなかったので(スーパーもないので、食材も手に入らない)、夜はバーで久しぶりにペリグリノメニューを頼んだ。サラダとパンと牛肉のシチュー。そしてワインは飲み放題!食事をとっていたのは、私一人だった。
 
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テレビのニュースでは、ポルトガルの山火事のニュースがやっていた。スペインと同じく渇いた大地が広がるポルトガルでも、一度山火事が起こると一気に広がってしまう。家を失った人たちは、涙ながらにインタビューを受けていた。ここも午後になってから風が強くなり、夕方には強風になり窓や扉がガタガタというほどだった。そんな中、宿の管理人の中年夫婦は、外でタバコを吸っている。あの灰が飛んで行って、周りの渇いた草に飛び火したらと思うとヒヤヒヤした。窓の外を見ると、空が夕焼けになりつつある時間になってもまだ次の村を目指して歩く巡礼者がポツリポツリと風に吹かれながら歩いていた。ワインで酔っ払った私は、彼らを止めることなく、ぼんやりと見つめるしかなかった。
 
 
 

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