スペイン巡礼 フランス人の道 30代ひとり旅

【女性ひとり旅】32日間かけてスペイン巡礼フランス人の道を歩き、マドリッドで「暮らすように旅をする。」を実践。質問あれば、お気軽にどうぞ!

【21日目】スペイン巡礼 〜Astorga

カミーノ・デ・サンティアゴ

2017/06/24

スペイン巡礼21日目

 
今朝は出発してから10kmほど行ったPuenteという村で、朝食をとった。とても雰囲気がよい村で、お店の店員もとても愛想よく大きなカップにカフェコンレチェを入れてくれた。美味しそうなパンもショーケースに並んでいて、焦がし砂糖のかかった大きなパンを選んだ。真ん中にぐさっとフォークを刺して豪快に出してくれた。
 
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広い店内を抜けると、奥には大きな中庭があり、青々とした芝生が朝日に照らされて美しかった。少し肌寒かったが、ジャケットを着て外でいただくことにした。庭には放し飼いのヒヨコがいて、お客さんが落とすパンくずを探しながらちょこちょこと歩いている。なんてのんびりとした風景なんだ。小さな子供がわざとパンくずを落とすので、ヒヨコたちはテーブルの足元に群がっていた。が、そのうちに意地悪そうな中年女性が隣のテーブルにやってきて、小さなヒヨコたちを足で追い払った。ヒヨコたちは一目散に植木の陰に逃げて行った。
 
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朝食を終え、出発すると、すぐに大きな橋にさしかかった。Orbigo川だ。わりと新しい石作りの美しい橋で、渡りきるとまた可愛らしい石作りの建物が並ぶ通りにつながっていた。こちらのカフェも明るくて良さそうだった。とにかく雰囲気が良い町は歩いていて楽しい。
 
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町を抜けると、また道が二手に分かれていた。どちらも距離が同じだったので、多くの巡礼者が進む方向に行くことにした。田んぼ道の中をゆくような、のどかな道だった。舗装されていない土の道だが、平坦なので歩きやすい。そのうちに、ものすごい強烈な臭いが鼻をついた。周りを見渡すと、畑の真ん中に大量の家畜の糞が山盛りに積まれていた。まだ新しいものなのか、糞からはガスが出て、朝日に照らされて湯気が上がっているのが見えた。息を止めながら、急ぎ足で通過した。
 
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そのうちに車道に出た。急に、たくさんの鳥の声がすることに気づいた。空を見あげても鳥はいない。ウロウロと声の元を探していると、ガードレールの先の土の斜面に無数の穴が開いており、鳥の声はその穴から聞こえてきた。姿は見えないが、おそらく鳥の巣に違いない。こんなに敵の侵入が簡単にできてしまいそうなところで子育てをして大丈夫なものか、と心配になりながら結局鳥の姿は見つけられずにその場をあとにした。
 
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陽も高くなり、アルファルトからの照り返しが強くなったころ、登っては下りを繰り返すデスロードが現れた。なぜ平らにしなかったのだ・・・と呪いたくなるほどに、登らせては降らせる。意識が朦朧としながら歩き続け、やっと景色が開けた。
 
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大きな十字架のモニュメントの先に、本日の目的地Astorgaの町が遠くに見えた。丘を越えて下る坂の途中に、民族衣装を着た中年の男がスペインギターを弾いていた。「何かリクエストがあれば弾くよ」と声をかけてくれたのだが、喉の渇きで音楽どころではなく残念だがリクエストする余裕がなかった。
 
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坂を下りきったところに、天を仰ぎ水を飲む巡礼者の銅像が立っていた。まさに今の私。残り少なくなったペットボトルの水を、その像の隣で飲みきった。さぁ、あとはAstorgaの町に向かうしかない。
 
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Astorgaの一つ手前の小さな村を通り過ぎ、ぐんぐん進む。足取りは軽い。町が近づいて心に余裕が出てきた矢先に、その建造物は現れた。大きな、おおきな歩道橋だ。巡礼路は線路で遮断されており、歩道橋を登り渡るしか方法がなかった。疲れた足腰に、このやたら迂回させる巨大な歩道橋。地味に辛い。
とぼとぼと登り、そしてまた下ると町までの一本道だ。そして町に近づくにつれて、Astorgaの町が崖の上に築かれていることに気がついた。そう、この町にたどり着くには、この崖の高低差を越えなければならないのだ。
 
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崖の上に続く、 急勾配の坂が目の前にまっすぐ空まで伸びていた。最後の力を振り絞って登りきった。坂を登りきったところに、Siervas de Mariaという大き目のAlbergueがあった。もうここにするしかない!と駆け込むように受付をした。ここは本当に崖ぎりぎりに建てられたアルベルゲで、頑張って登った甲斐があって眺めが抜群に良かった。広いキッチンに、オープンテラスのダイニング、そして広い物干し場もあって巡礼者にとってはこれぞ完璧な宿だった。
 
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荷物を置いて、まずは昼ごはんを買いにスーパーへ。Astorgaは思っていた以上に大きな町でレストランやバー、雑貨店、ブティック、スポーツショップ、本屋さん、そして大きなスーパーもあった。広場では多くの人がバーのテラス席でたのしく飲んでいた。しばらくするとマーチングバンドのパレードも始まり、とても明るくて陽気な町だった。
 
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Astorgaはチョコレートも有名な町で、専門店が幾つもあった。溶けるのであまり持ち運べないが、食べきれる小さなかけらを買ってみた。濃厚で美味しい。チョコレート屋さんのテラスで休んでいると、知り合いのアメリカ人の2人組に出会った。20代前半の若い女性の二人組で、よく同じ宿に泊まっていた。一人はポストカードを何枚も買って、手紙を書き始めた。アメリカの友人に送るのだそう。「旅話が一番のお土産でしょ!先に送るから荷物にもならないしね!」と。確かに。
 
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宿に帰り、スーパーで買ったサラダを食べていると、近くにいた大人数のグループがランチを作っていた。大きな塊の肉を買ってきて、いまからフライドチキンにするそうだ。「おいしそうだなー」と横目にみていると、「おまえもたべるか?」と聞いてきた。遠慮もなく、いただくことにした。大人数できている巡礼者は、食事には困らない。大量に作るので節約になるし、なにしろ作りがいがある。Astorgaのような大きなスーパーなら一人用のサラダパックや、お惣菜も売っているけど、小さな町だとそういった小分けした食材はないので結局料理をするほど買えないのだ。そんなことをしているうちに、フライドチキンとフライドポテトが出来上がり、ご馳走になった。出来立ての、そして人が人のために作った料理はやっぱり美味しい。美しい景色と、きれいな空気、そして美味しい手作り料理。完璧な午後が過ぎていった。
 
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