スペイン巡礼 フランス人の道 30代ひとり旅

【女性ひとり旅】32日間かけてスペイン巡礼フランス人の道を歩き、マドリッドで「暮らすように旅をする。」を実践。質問あれば、お気軽にどうぞ!

【24日目】スペイン巡礼 〜Villafranca del Bierzo

カミーノ・デ・サンティアゴ

2017/06/27

スペイン巡礼24日目

 
今朝も6時前に出発しようと、いつものように5時半前には起床し、支度をして宿を出た。が、庭の門が開かない。外から鍵がかかっていて、どうしても開かないのだ。改めて庭を見回すと、ベンチで待っている人がいる。門が開かないことを訪ねると、ここの開門が6時半だということだ。すなわち、われわれ巡礼者は飛び立とうにも鉄籠から出られない鳥なのだ。しかたなく、ベンチで30分ほど時間を潰すことにする。こんなことなら、もう少しゆっくり寝ていればよかった。
 
若い男の子二人組みもそうとは知らずに意気揚々と門に向かうが、門が開かないことにイラついている様子。何やら二人で相談したかと思ったら、なんと一人の男の子がバックパックを放り投げた。力が強いのだろう、重いバックパックが宙を舞い、見事に門の外にどさっと落ちた。もう一人の男の子も同じように放り投げ、門の外に落とすことに成功した。今度は何をするかと思えば、二人とも門をよじ登り、軽々と越えて、身軽にジャンプし着地すると、先に落としたバックパックを背負い、何事もなかったかのように出発していった。若いってすばらしい。
 
老いたものはじっとベンチで待ち、6時半少し前に管理人が来て開けてくれた門を抜けて一足遅れて出発した。
 
昨日見学したお城の横を抜け、大きな川を渡ると、大きな学校の敷地内を抜ける。公共施設の中が巡礼路になっているのだ。数日前から一緒に歩いている、北欧から来たグループに会った。その中の一人の女性は、肌が白く、きれいなシルバーブロンドの髪に、大きな青い目をしていた。流行りの黒いスパッツに、明るい派手な色のマウンテンパーカーが似合っている。彼女は、サンティアゴに着いたあとは、そのまま歩いてフィステーラ岬を目指すそうだ。そうか、もうみんな巡礼を終えたあとのことを考えているのか。サンティアゴというゴールを数日後に控え、この度が終わってしまうことが少し寂しく思えた。
 
この美しい北欧の女性は、なんとポーカーが趣味で、カジノでプレイして生計を立てているらしい。今回もポーカーで勝って、こんなに自由にノマドライフを送っているらしい。世の中には本当に面白い生き方をしている人がいる。依存症で無一文になる人もいれば、こうやって魅力的な人生を自分自身で掴み取っている人もいるのだ。人生は自分次第だ。
 
そうこうしているうちに、気がつけばブドウ畑の真ん中を歩いていた。いくつもの森を抜け、小さな村を抜け、どんよりとした空の下をひたすらに歩き続けた。
 
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 はっと顔を上げると、畑の真ん中にぽつんと白い小さな家が建っていた。家のすぐ脇には、風から家を守るために倒れかかるように大きな木が立っている。その切り取った景色が、まるで一枚の絵のように美しかった。幼い頃に見た、ヨーロッパの田舎の風景画を現実に見ているようだった。この小さな家にどんな人が住んでいるのだろうと想像していたものが、目の前に存在していた。今、私は絵画の一部となって、この家の脇道を歩いている。夢と現実があいまいになった気分だ。
 
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途中の町で、古いバーに入ると、遅い朝食にした。カフェコンレチェに、スクランブルエッグとベーコンを頼んだ。もれなく大きくカットされたフランスパンもついてくる。大きくて頑丈そうなカウンターテーブルでは、年老いた男性が新聞を広げ、昼間からビールを飲んでいる。窓際のテーブルには、二人の女性が大きな声でしきりになにか話あっている。そこに店員の女性も加わり、井戸端会議が大詰めを迎えた。食事を終えると、窓の外に雨合羽を来た巡礼者が歩いていくのが見えた。やっぱり、雨が降ってきたのか。
 
外に出ると、雨合羽なしでは歩けないほどに雨が降ってきていた。しぶしぶレインコートを羽織り、出発する。町には小さな教会がたくさんあり、入り口で「見ていきなさい」と管理人が手招いている。ある教会には、まるで観音像かと思うくらい黄金にギラついたマリア像がところ狭しと並んでいるところもあれば、「新しいクレデンシャルを発行してます」と宣伝しているところもあった。もちろん、最後に寄付を求めてくるのだが 。
 
雨で身体が冷え、今日はもう無理だ弱音が出た頃、最初のAlbergueが見えてきた。Villafranca del Bierzoの町の一番端にある公共の宿だ。受付したのは私が1番だった。二階のベッドルームに荷物を置き、濡れた服を屋根のあるベランダに干してはみたものの、乾きそうにない。とにかく暖かいものを身体に入れたくて、1階のキッチンでお湯を沸かし、持っていたベルガモットティーを入れた。やっと落ち着く。宿には誰もおらず、外にはしとしとと冷たい雨が降っていた。
 
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夕方、少し雨が弱まったので、町を見に行った。町に行くまでの石畳が工事中で、砂利がむぎだしになっていて、雨も降っていたので足場がとても悪かった。大きくはないが、小さなレストランやバーもあり、スーパーもあった。中心部に修道院を見つけた。立派な造りで、ここにもAlbergueがあるらしい。こちらに泊まるのもよかったな。
 
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帰りにスポーツバーで大きなハンバーガーと白ワインで夕食にした。メインがパテと目玉焼きというのが何ともいえないが、味はとても美味しかった。この辺りはワインの産地で、地元のワインもとても美味しい。私の他に、自転車で巡礼中の中国人の親子が食事をしていた。おそらく中国人だが、彼らは英語で会話をしていた。きっとお金持ちで、英才教育をしているのだろう。GoogleMapの性能の悪さを英語で話あっている。賢い息子と二人だけの冒険旅ができて、きっと父親は誇らしいのだろう。終始笑みがこぼれていたのだった。
 
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