スペイン巡礼 フランス人の道 30代ひとり旅

【女性ひとり旅】32日間かけてスペイン巡礼フランス人の道を歩き、マドリッドで「暮らすように旅をする。」を実践。質問あれば、お気軽にどうぞ!

【26日目】スペイン巡礼 〜Triacastela

カミーノ・デ・サンティアゴ

2017/06/29

スペイン巡礼26日目

 
雨の音で目を覚ます。あたりはすでにぼんやりと明るくなっていた。気持ちが上がらない中、乾ききっていない服に着替えて、濡れた冷たい靴を履いて、宿を出た。目の前には、どんよりとした空の下に、晴れていたらすばらしく美しかったであろう山々が雲海の中に広がっている。
 
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山のてっぺんのはずなのに、巡礼路はまだ上り坂だ。鬱蒼とした茂みの中に小道が続いている。レインコートから唯一肌を露出している顔に、冷たい雨がぴちぴちと吹き付ける。つらい。
 
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しばらく登ると、今度は下り坂に入った。早くこんな山降りてしまおうと、自然と早足になる。よくブログやパンフレットで見た巡礼者の銅像の横を通り過ぎるも、近くにいく気力がなく遠目から写真をとった。銅像は少し前かがみで、まるでこんな風雨に吹かれて歩いているようだった。
 
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いくつかの村々を通り過ぎたが、どの村も曇天の中では暗く、少し不気味に見えた。きっと晴れていたら庭先に草花がきれいに咲き、美しい村だったのだろう。
 
もう十分雨に耐えた、というところで、小さな山小屋のバーに入った。こんな山の中腹にもバーがあるなんて、ありがたい。山小屋の中では、ちょうど亭主が暖炉に火をつけているところだった。「さぁ、どうぞ」と優しくカウンターへ席を案内してくれた。カフェコンレチェのダブルサイズを頼んだ。
 
すると他の巡礼者の何人かが入ってきた。この前も一緒に歩いた、ポーカーが趣味の北欧の美しい女性のいるパーティーだ。よくみると彼らは、ゴミ服をに穴を開けて頭と腕を通してレインコートを手作りしていた。それにしてもあまりにも手作りすぎやしないか。髪も服もバックパックもびっしょり濡れていた。ゴミ服を脱ぎ捨てると、店の亭主に「雨がっぱは売っていないか?」と藁にもすがる思いで訪ねていた。こんな人たちがたくさんいるのだろう、亭主は奥から何種類か値段の違うレインコートを出してきた。したは4ユーロから上は10ユーロまで。私から見たらどれも変わらない。私が日本から遥々持ってきたコロンビアのレンコートには敵わない。少しがさばるが、丈夫で柄もきれいで、さすが音楽フェスで重宝されているだけはある。
 
散々盛り上がったあと、ワインのボトルを開け始めた彼らを置いて、バーをあとにする。まだ雨は上がらない。ほぼ山を下りきったところで、おんぼろな家々が立ち並ぶ集落を通過した。久しぶりに、ものすごい臭いがした。家畜を飼っているのか、糞尿が雨に濡れてさらに悪臭を放っている。息を止めて通過する。
 
森が開けて、牧場が現れた。その先に小さな村もある。「今日はここで終わり!!!」そう決めて、早速目の前のレストランに駆け込む。地元のおじいちゃんたちが何人かテーブルにいてランチをしていた。写真のメニューのある定食屋で、わりと感じがいい。ソーセージと豚肉ののったプレートを頼む。ついでに白ワインも!冷たい雨の中、山を下りきったご褒美だ。
 
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食事が終わると、さぁどこに泊まろうか。何人かの巡礼者がレストランの前を通過したのが見えた。今日はきっとみんなこの辺りで泊まるだろう、早く宿を探さないと満室になってしまいそうだ。
 
レストランを出て、もう少し村の中心街に向かった。何人かの巡礼者がウロウロと宿を探している。だいぶ疲れが溜まっていたので、もう一番先に目に入った宿に入った。石造りの可愛らしい作りのAlberugueだ。一階はおしゃれなレストランだった。二階にいくつかベッドがある宿になっていた。掃除が行き届いており、清潔だった。
 
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止むことのない雨の中、特にすることがないので、午後中ベッドの上で過ごした。窓辺に小さなプランターがあり、赤い花が咲いていた。庭の芝生には子供用の錆びれたブランコがあり、長靴を履いた小さな子供2人が傘をさして遊んでいる。ふと、なんだか昔訪れたことのある、イギリスの田舎町コッツウォルズを思い出した。ある意味、この村はスペインの原風景を壊さずに大切に残し続けているのだと、気がついた。カミーノという道も、何百年もの歴史がある景色を残し続けている。観光地化され多少経済が潤っているとはいえ、その努力を続けているスペインの人たちがいるからこそ、世界遺産に登録される価値があるのである。改めて、この道を歩かせていただいていることに感謝したのでした。