スペイン巡礼 フランス人の道 30代ひとり旅

【女性ひとり旅】32日間かけてスペイン巡礼フランス人の道を歩き、マドリッドで「暮らすように旅をする。」を実践。質問あれば、お気軽にどうぞ!

【18日目】スペイン巡礼 〜Mansilla

カミーノ・デ・サンティアゴ

2017/06/21

スペイン巡礼18日目

 

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夜明け前に宿を出る。村の周りにホタテマークが少なかったため、見失わないように慎重に進んでいると、「エクスキューズミー」と声をかけられた。発音から日本人だとわかった。「おはようございます。」と声をかけると、「日本人ですか?」と安堵の声で質問された。
 
A子さんは、一人で巡礼に来ている60代の日本人女性だった。この暑さで大丈夫かな?と心配になってしまうほど、細くて小さな身体でだった。やはり体力に自信がないそうで、バックパックはキャリーサービスで次の村に運んでもらっているそう。でも心はとってもアクティブ。
 
数年前からカミーノに行きたいと思っていて、1年前に初めて歩きに来たそうだ。その時は最初の数日でもう歩きたくなくなってしまい、途中のメセタをバスにスキップして、また途中の町からサンティアゴまでを歩いたそう。が、やはり全てを自分の足で歩いていなかったことに後悔と心残りを感じ、1年後の今年はバスを使いパスした部分だけを歩きにきたそうだ。なんとなく気持ちはわかる気がする。
 
昨日の瞑想から一期一会の出会いを大切にしようと決めたので、今日はA子さんと一緒に歩いてみることにした。A子さんのペースに合わせる形で、初めて日本人と会話をしながら歩いてみた。日が登れば一緒に眺め、珍しい植物があれば「これはなんなのか?」ということで話しあった。時間が過ぎるのがとても早い気がした。
 
A子さんは元々学校の先生だったということで、とても物知りだった。スペインやカミーノの歴史についてもとても詳しく、こちらに来る前に色々と勉強して色々な知識があった。わたしなんかより、ずっと。こういった話を聞いていると、何事もリサーチが大事だということだ。
 
途中、通りかかった村で朝ごはんを食べた。いつものトルティージャとカフェコンレチェ。A子さんは、卵焼きでサンドされた野菜サンドイッチとオレンジジュース。ここのトルティージャもとってもボシュームがあって美味しかった。サンドイッチも初めて食べたけど、野菜たっぷりでとっても美味しい。
 
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今日は比較的ゆっくり歩き、お昼にはMansillaの町についた。町の入り口に、巡礼者を模した石像が置いてあった。疲れてうなだれる男の像と、石段に倒れこむように寝そべる男の像。本当によく巡礼者の心情を表しているなと思った。サンティアゴまであと300km・・・。それでも、よくここまで歩いてきた。
 
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今夜はA子さんと同じアルベルゲに泊まることにした。受付を行う部屋には、巡礼者の写真や手紙、ホタテがたくさんぶら下がっていた。ラフな格好の女性達が事務的にスタンプを押してくれた。
 
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一階には広いキッチンとダイニング、大きな中庭があり、簡易的なシャワールームがいくつかあった。何よりも驚いたのが、寝室のある二階に続く階段が傾いているのだ。平衡感覚が奪われる、不思議な階段だった。
 
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荷物を置いてシャワーを浴びると、ビールを飲みに出かけた。一杯頼むと、小さなボール型のコロッケがついてくる。これが美味しいのなんのって。
 
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シエスタに入ると町中の店が閉まってしまったが、オーガニックの食材店だけは開いていたようだ。A子さんが買ったKONBUCHAは、梅味だった。
 
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夜もA子さんとペリグリノメニューを食べにレストランへ。チキンのプレートに、ワイン。デザートにアイスクリームが出てきて、8ユーロ。
 
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 レストランには幼稚園生か小学生の子供達がたくさんいて、テレビを見ていた。お客さんがいるのに、店内は子供達で騒がしい。こういうところもスペインらしくていいのだ。巡礼は折り返しを過ぎ、あと10日ほどで終わってしまう。1日1日を大切に、楽しみ尽くして歩いていこう。
 
 

【17日目】スペイン巡礼 〜El Burgo Ranero

カミーノ・デ・サンティアゴ

2017/06/20

スペイン巡礼17日目

 
夜が開ける前に宿を出る。次の村まではわりと距離があった。農地の中の小道を進む。背の高いススキのような植物に阻まれながらも、夜明け前の薄水色の空を眺めなら散歩するような気持ちだった。昨日の気の遠くなるような長距離をこなせた自分に自信がついたようだ。
 
今日はレオン州に入る。ついにカミーノも半分まできた。長かったようで、もう半月も歩いているなんて信じられないような・・。毎日必死に歩いてきた。
 
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3時間ほど歩くと、SAHAGUN(サーグン)という町が遠くに見えてきた。ここは比較的大きな町で、牛追い祭りでも有名な町。パンプローナ牛追い祭りで有名な本場だが、スペインには他にもいくつかそういった有名な町があるそうだ。
 
サーグンの町中まで、大きな車道がまっすぐに伸びている。が、なぜかホタテマークと黄色い矢印は、道を逸れて右の方向を指していた。ん?右に進むと明らかに農地の真ん中を通るルートに行くようだ。サーグンの町に行くなら遠回りになる。
 
さらによーく見ると、道路のコンクリートに直進の方向を指した矢印が消された後がある。どっちにいったらいいんだろう。迷っていると、おじさんの巡礼者が、「右に行くのは新しい迂回ルートだ。あっちに教会があるんだよ。けど、教会に寄らずにサーグンの町に行くならこっちのまっすぐな道がいいよ。」なるほど。
 
おじさんについてまっすぐのルートを行くことにした。しばらく歩いて振り返ると、さっきのポイントでやはり巡礼者が一度止まって地図を見返したりしている。推測だが、迂回ルート上の教会に巡礼者を訪れさせようと、新しくカミーノルートを修正しているようだ。
 
町に近づくにつれて、なんだか町が閑散としていることに気づく。車の整備工場や、車が置かれていない車の販売店などが立ち並んでいるが、建物が古く寂しい雰囲気だ。もちろん人気もないので、ゴーストタウンのよう。大きなホテルもあったが、パーキングには大きなバスが1台駐車しているだけ。とても牛追い祭りで賑わうとは思えない。
 
町の中心地に入ると、牛追い祭りの準備なのか、通りに柵などの準備がされているようだった。残念だが、祭りは今日ではないようだ。が、祭りがあったとしても、なんだがこの町に滞在する気は起きなかった。
 
巡礼者で賑わっているカフェがあったので、ここで朝食をとることにした。日本にあるパン屋さんのように、美味しそうなクロワッサンやサンドイッチや菓子パンなどがガラスケースに並んでいた。大きな揚げパンと、カフェコンレチェをオーダー。お店の女の人はとても愛想がよく、店が混み合っていることを詫びて、笑顔でオーダーを取っていた。日本の接客サービスのようで、なんだかホッとした。
 
サーグンの教会では、距離の証明書を発行してくれる。フランス人の道でいうと、ちょうど半分あたりなので、「半分歩きました」という証明になるようだ。入り口で3ユーロ寄付すると、中で証明書を発行してくれるそう。なんだか途中で万が一歩けなくなったときの保険のようで、私はパスした。
 
サーグンを出発すると、道が二手に分かれる。一方の道を行くとBercianosという村につき、もう一方に進むとCalzadillaという村につく。前者は比較的整備された道を進み、後者は整備されていない農地の中をゆく道だ。
 
私は前者をゆくことにした。 高速道路沿いの道をひたすら進む。こちらの道の特徴は、とにかく面白いものが一切ないということ。景色も代わり映えない、コンクリート道路。途中、高速道路の高架下の日陰で休憩し、また何もない道を歩く。こんな日もある。
 
今夜はEl Burgo Raneroという村に泊まることにした。最初に選んだAlbergueはすでに数人が受付待ちをしていた。大きな庭があって、プールもある。よさそうだ。受付が始まると管理人が出てきたが、スペイン語でわめき散らし、なんだか怒っているようだ。一人の巡礼者がスペイン語で話しかけるも、相手にしていない。様子がおかしいことに気づいた巡礼者の数名は、ここのAlbergueをやめて他のところにいくことにした。もちろん私もそのうちの一人。雰囲気の悪いところで一晩も過ごしたくない。
 
次に選んだのは、公共のアルベルゲ。こちらもオープンまでにあと1時間ある。バックパックを置いて、受付を待つことにした。ちょうど道の反対側に商店があったのでビールとスナックを買って、アルベルゲの前のベンチでランチにした。ベンチの下には猫がのんびりと昼寝をしていた。日差しは強いがおだやかな午後。
 
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アルベルゲがオープンすると、ボランティアの女性達が受付をしてくれた。ここは藁が混ざった土壁の古い建物で、ものすごく質素な作りだった。正直心配ではあったものの、女性達の親切な対応で、ここにしてよかったと心底思った。1階は広いダイニングとキッチンがあり、二階に寝る部屋があった。二段ベッドに案内されると、その建物の簡易的な作りに驚かされる。室内の壁ももちろん土壁なのだが、天井は木材の柱がむき出しで、天井というより屋根だった。もちろん冷暖房の設備はないのだが、こんなに外は日差しが強いのに、中はそこまで暑くはなかった。土壁のおかげなのかな?
 
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夕方、ヨガのインストラクターもしているという女性が、みんなで瞑想をしようと呼びかけてくれた。ダイニングのテーブルと片付けて、下に毛布を敷いて座り、みんなで瞑想をした。瞑想のあとは、一人ずつカミーノに来た理由や、歩いてみて感じた気持ちなどを話した。「誰も否定しない」のが、たったひとつのルール。
 
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みんなカミーノに来た目的は、ほんとにそれぞれ。リアルドラクエ的アドベンチャーを求めてきたわたしも、スピリチュアルな体験がしたくて来た女性も、家族と楽しい旅行がしたくて来た親子もみんなこの道のおかげて今日こうやって出会えた。そしてこの時間を共有している。一期一会ってこうゆうこと。
 

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【16日目】スペイン巡礼 〜Moratinos

カミーノ・デ・サンティアゴ

2017/06/19

スペイン巡礼16日目

 
あの夢のようなパレードの翌日、今日はある意味覚悟の1日だった。というのも、出発してから18km先まで村がないのだ。
 
18km…想像もつかない。地図を見る限り、本当になにもない。道をそれて寄り道もできないほど、なんにもない大地。恐ろしい・・・。
 
気合を入れて出発した。だが、昨日あんまり歩かなかったのにもかかわらず、膝の調子がよくなかった。膝の軟骨がなくなってしまったかのように、歩くと振動が直接骨に伝わりズキズキした。
 
MESETA(メセタ) …それは「何もない大地」。そうだ、これこそがメセタだ。想像通りのメセタ。ほんとうに何もなかった。
 
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地平線の向こうまで、広野が広がっている。渇いた草の生えた草原。まるでサバンナのようだった。一つ違うのは、動物が一頭もいないところ。動物が寄り付かないくらい、水場がなく、渇いた大地だった。時々、枯れた木が命からがら立っているのが遠くに小さく見えた。
 
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一本道には、巡礼者が点々と歩いていた。みな、だまって、一本道の先を見つめながら黙々と歩いていた。スペイン巡礼というとこういうイメージたった。渇いた大地の一本道を一人で歩きながら、ひたすらに自分を向き合う・・みたいな。
 
でも実際は暑くてそれどころではない。どうやったら疲れずに膝を傷めずに歩けるか、あと何kmで次の村に着くのか、ついには、暑い、疲れた、喉乾いた、休みたい・・・もうシンプルな欲しかない。生きるための欲。ある意味、本当にシンプルになってきているなぁと感じる。
 
そして、ついに18kmという長い距離の欲との戦いに勝ち、地平線の先にやっと次の村Calzadillaの教会の屋根が見えてきた。近づくにつれて、村の全貌が見えて来る。ここでもやっぱり村の入り口のカフェに、もはや駆け込むように入った。まずはトイレにいってから、カウンターでカフェコンレチェとトルティージャをオーダー。
 
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このカフェのテラスで食べた、ここのトルティージャが、今回の旅の32日間の中で一番美味しかった。じゃがいもやほうれん草などの具がたくさん入っていて、周りはよく焼けているのに、中がトロトロで今まで食べたことがない食感とボリュームだった。まさに家庭の味。疲れすぎていて、写真がないのが残念だった。
 
もうここに泊まってしまおうか、とやりきった感がいっぱいだったが、次々と出発していく巡礼者に感化され、重い腰を上げた。
 
メセタを抜けると、静かな車道沿いの道に出た。見慣れた青い花が咲き、いつもの調子を取り戻した。7、8kmほど歩き、目的地のTerradillosという村に着いたが、なんとなく雰囲気が怪しく、ぱっとしない。みつけたAlbergueはオープンしているようだが、人気がない。庭もテラスもあるようだが、ウロウロしていると、中から巡礼者数人がぶつくさと言いながら出てきた。
 
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事情を聞くと、「ここのアルベルゲはよくない。wifiもないようだ。きみも次にいったほうがよい。」という。やっぱり。なんだか雰囲気が良くないと思っていたが、みんなも感じていたようだ。もうヘトヘトだったが、みんなに少しスナックをもらい、お水を満タンにして、出発した。
 
こっからもやっぱり日陰のない、農村の道だった。数人で出発したが、みんなのペースが速くて、置いて行かれた。こういったとき、巡礼者は他人のペースに合わせたりしない。そこが私にとっては気軽だった。もう少し先の村まで行こうと思ったけど、風が強く、Moratinosという村でストップすることにした。村、といってもバー兼Albergueが一件しかない。
 
新しくてきれいな建物で、こんな草原の真ん中に建っているのが少し違和感があるほどだった。でも私にとっては、砂漠にみつけたオアシスの宮殿のようだった。受付をすると、すぐにもう一人巡礼者が入ってきて、彼女によるともう次の村のAlberugueは全て満室らしく、この村でストップしたそうだ。よかったー。ケータイが使えない私にとって、歩いているときはそういった情報が手に入らないので、いつも運に頼るしかなかった。
 
案内された部屋は、まるでホテルのようなきれいさだった。巡礼中に泊まったAlbergueの中では、ここがダントツ一番だった。だからこんな辺鄙な場所にあるのに、宿泊料も少し強気だ。(といっても10ユーロくらいなんだけど・・)
 
可愛らしい白い壁の部屋に、シングルベッドが2つと二段ベッドが1つ。私が1番だったので、迷わずシングルベッドを選んだ。マットレスが厚くて、ふかふか。だけど、もちろんその上に寝袋を敷いて寝る。シャワールームもホテルのような設備で、きれいだった。1階にはリビングルームもあり、大きな白いソファーがあり、ライブラリーもあったので、くつろぎながら本を読むこともできた。なんて素敵な環境!午後はここでゆっくり過ごすことに決めた!
 
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シャワーを浴びたら、1階のバーのテラスでビール!うんまい!よく歩いた1日だったので、ご褒美は格別だった。庭には芝生もあり、まだ先に進むつもりの巡礼者も靴を脱いでくつろいでいた。バーに立ち寄る巡礼者に、「ここの宿は最高だよ!」とおすすめをした。
 
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宿にはキッチンがなかったので(スーパーもないので、食材も手に入らない)、夜はバーで久しぶりにペリグリノメニューを頼んだ。サラダとパンと牛肉のシチュー。そしてワインは飲み放題!食事をとっていたのは、私一人だった。
 
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テレビのニュースでは、ポルトガルの山火事のニュースがやっていた。スペインと同じく渇いた大地が広がるポルトガルでも、一度山火事が起こると一気に広がってしまう。家を失った人たちは、涙ながらにインタビューを受けていた。ここも午後になってから風が強くなり、夕方には強風になり窓や扉がガタガタというほどだった。そんな中、宿の管理人の中年夫婦は、外でタバコを吸っている。あの灰が飛んで行って、周りの渇いた草に飛び火したらと思うとヒヤヒヤした。窓の外を見ると、空が夕焼けになりつつある時間になってもまだ次の村を目指して歩く巡礼者がポツリポツリと風に吹かれながら歩いていた。ワインで酔っ払った私は、彼らを止めることなく、ぼんやりと見つめるしかなかった。
 
 
 

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【15日目】スペイン巡礼 〜Carrion

カミーノ・デ・サンティアゴ

2017/06/18

スペイン巡礼15日目

 
朝宿を出発すると、まだ月が出ていた。あたりは静かで、Fromistaの町の教会が幻想的に見えた。
 
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大きな道路を渡るときに早速迷いそうになったが、周りの巡礼者が教えてくれた。今朝はすこし遅く出発したから、歩き始めるとすぐに日の出を迎えた。空が一瞬にしてピンク色に染まり、神々しく姿を現した太陽に手を合わせた。
 
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今日の道は二手に分かれている。結局は同じ道につながるのだが、農道をゆく道と、車道沿いをゆく道。カフェで朝食を取りたいので、村を通過する車道路沿いの道を選んだ。するとそこには、ホタテマークを表すコンクリートの目印が、これでもかというくらいに並んでいる。これはいったいどうゆうことなのか。近いところでは、5メートルごとに並んでいる。ホタテマークを見失ってウロウロする日もあれば、しつこいほどに並ぶ日もあるんだね。それにしても、ピンクに染まる景色が美しい。
 
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道沿いによくあるこの青い花を咲かせる植物が好き。うっすらと蛍光に光っているようにも見える。このほかにも黄色い花もよく咲いていて、疲れたときに癒された。花の周りには蜂や蝶も多く飛んでいて、日本では日常的に動植物を見ていないことに気づかされる。
 
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今日の行程はたった19.3km。なのに、果てしなく長く思えた。結局カフェには寄らずに歩き続けた。絶妙に高低差がある道をゆく。トイレにも行きたいのにゆけず。
 
お昼近くになってやっとCarrionの町に到着。ここは教会の町でいくつもの修道院があるようだった。一つ目のAlbergueのある修道院Santa Claraはまだオープンしていなかった。次に目指したSanta Mariaもまだオープンしていなかったが、こちらの方が町中にあり雰囲気も良かったのでバックパックを置き、順番に並んだ。
 
町の大きな通りに入るなり、今日がお祭りであることが一目でわかった。というのも、町中の道ところ狭しと、花びらの絨毯が敷かれている。これがものすごく鮮やかで配色も模様もきれいで、こんな光景はもちろん生まれて初めて見た。町中がまるでディズニーランドみたいな雰囲気!
 
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その模様をよーく見て見ると、花びらではなく、染色された藁のようだった。とにかく、町中に敷かれていて、模様も全て違っていた。人々は、そのカラフルな絨毯を壊すまいと、絨毯の脇の細い道を慎重に歩いていた。ので、もちろん交通渋滞も起こっていた。
 
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話を聞くと、今夜はCorpus Christiというキリスト教のお祭りで、この鮮やかな絨毯は全て、修道院のシスターと町のボランティアの人たちによって敷かれたものだそうだ。こういった伝統を守ったり、それを毎年盛り上げて後の時代につなげていく努力をしている方たちには本当に頭があがらない。たまたま今日この日にこの町に立ち寄っただけの一観光客が、なんの準備も手伝っていないのにこんなに楽しませてもらっていいのかな?という気持ちになるくらい、本当に準備に時間と労力がかかっていそうなお祭りだ。
 
午後12時丁度になると、町中の教会の鐘が鳴り響き、ミサが始まった。多くの人がおしゃれをして、教会に集まってきた。教会は満員だった。男の人は正装をして、女の人は色鮮やかなワンピースを着ていた。どれ一つ同じ色や形のドレスはなくて、みんながみんな自分の好きな色を着て、それでいて似合っていた。太陽のように鮮やかな色は、スペインの国そのもののようだった。
 
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ミサが終わるとパレードがスタートした。音楽隊を先頭に、スペインの伝統的な模様のあるタペストリーを持つグループや、たくさんの花が飾られた十字架や、金色の装飾がされた大きな箱を大勢で担いだグループが、次々に歩いてきた。小さな子供たちも、伝統的な衣装に身を包んで、緊張した表情で列に加わってあるいている。
 
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このパレードは、あんなに綺麗に敷かれた鮮やかな絨毯の上を歩いてゆく。大勢の人が歩くので、絨毯の模様な壊され、色が混ざって、そしてさらに鮮やかになっていく。このためだけに労力をかけて用意された花道が、パレードというこのお祭りの大トリが最大限に輝く瞬間を作っているんだという刹那的な醍醐味もあるんだと感じた。
 
花道沿いの家々の二階からは、花びらが巻かれ、最高の瞬間を演出していた。まるで中世の時代にタイムスリップして、パレードを見ている村人一味になった気がした。そんな夢のような光景だった。
 
こんなすばらしいものを見せていただいた、この旅に感謝した。1日でも滞在がずれていたら、見れなかった光景。本当にラッキーだった。
 
そして、パレードの最終集団が去ったその10メートル先には、清掃車が待機しており、人々が歩いてぐちゃぐちゃに乱された鮮やかな絨毯を一瞬のうちに回収して、あとには何も残らなかった。本当に刹那的。
 
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【14日目】スペイン巡礼 〜Fromista

カミーノ・デ・サンティアゴ

2017/06/17

スペイン巡礼14日目

 
お世話になったCさんの宿を後にし、今日も朝4時半には宿を出た。真っ暗な中、ヘッドライトを頼りに、野っ原の中の一本道を進む。遠くにテーブルマウンテンのような、岩の壁がそびえ立っていた。Mostelaresという山だ。あそこを越えたら何がみえるのかな?それが見たくてワクワクする。空気が涼しく、足取りも軽い。
 
上り坂に差し掛かると、草むらで何か動物が動いた!一瞬足が止まり、じっとしていると、また草むらで何かが動いた。ゆっくりと足を進めると、野ウサギが急に飛び出してきた。こちらもびっくりしたが、ヘッドライトに照らされた向こうはもっとびっくりしただろう。野ウサギは一匹だけではなく、次々に何匹も草むらから現れた。私を先導してくれるように、道を上へ上へとぴょんぴょんかけていく。わたしもそれを追うようにずんずん進む。
 
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真っ黒だった空が、うっすらと紺色に変わり、そして地平線と空の境がだんだんと水色に変わってくる。一歩一歩進むごとに、ゆっくりと、確実に空の色が変わってく。まだ月が白くポツリと光っていた。
 
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坂を少し登り、振り返っては、空の変わるのを眺め、そんなふうにしてテーブルマウンテンを登っていった。坂道は岩の壁をぐるりと沿うように続いていて、登るたびに日の出が岩で見えなくなりそうになる。朝日が登るその瞬間までに、頂上にたどり着きたい。そんな思い出足取りは急いだ。
 
そしてちょうど頂上につくかつかないかくらいに、あたりが一瞬にしてピンク色に染まった。世界がこのやわらかで、あたたかで、幸せなピンク色につつまれた。すばらしく美しかった。
 
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夜が完全にあけて、世界が目を覚ました。朝日とは反対の方向を振り向くと、地平線まで果てしない広野が続いていた。だーれもいない大地に、わたしがたったひとり。世界はわたしのもの。
 
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そこからはまたひたすらに一本道を進んだ。景色が変わらず、目印もないので、どこまで進んだのか、自分がどこにいるのかがわからない。10kmほど歩くと、やっと広野を抜けた。
 
途中、Boadollaという小さな村に着いた。が、ここが今まで経験したことがないほどに、雰囲気の悪い村だった。家々はボロボロで、通りには誰もいない。だが、洗濯物が干してあったりと、人が暮らしている雰囲気があった。カフェもあったが、パス。こんなところで朝食は取りたくない。
 
 村のはずれにさしかかったころ、古い牧場があった。馬糞の臭いがきつく、簡易的な柵に囲まれた広場には荒々しく暴れる馬が二頭いた。さっさとこの場を離れようと足早に通り過ぎようとしたところ、なんとその馬のうちの一頭が暴れて柵を越えて道路に飛び出してきた。近くにいた巡礼者二人も驚いて、一緒に逃げた。が、馬の足にかなうはずがない、すぐに追いつかれた。近くで見ると馬は見上げるほどに大きく、こんなものに一 蹴りされたらおそらく大怪我だ。緊張しながらそっとあとづさりすると、馬も落ち着き、なにもしないで通りすぎていった。本当に怖かった。なんて村だ。 
 
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村を抜けると、日差しが厳しくなったが、日影がまったくない道に入った。街路樹もあったが、葉が少なく、まったく木陰にならない。
 
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そのうちに農業用の水路沿いの道に出た。水がたっぷりと流れる水路は果てしなく続いていて、木陰はやっぱりなかった。水路の向こうには、機械で綺麗に耕された農地が広がっていた。汗が滝のように流れ、強烈な日差しに肌を刺され続けている。つらい。
 
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こんなときだが、日本にいる祖母の誕生日が近いとのことで、自撮りでバースデーメッセージ動画を撮影した。最高に厳しい環境の中で、最高の笑顔で、スペインでの生活を伝えたつもりだ。喜んでもらえただろうか。
 
どれくらいあるいただろうか。ついに本日も目的地、Fromistaの村についた。水路をにかかる小さな橋を渡り、最後の力を振り絞って進む。村にたどり着いたはよいものの、Albergueは13時にオープンするとのことで門の前にバックパックを置いて、村を散策してみる。たまたまあったイギリス人の男性と一軒のバーに入り、今日は珍しくカクテルを飲んだ。喉がカラカラだったのと、汗で塩分が体からなくなっていたので、さっぱりとした甘い飲み物が沁みた。
 
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彼も例の怪しい村でカフェに入り、散々な思いをしたようだ。店員は愛想が悪く、コーヒーとトーストで8ユーロも取られたそうだ。スペインでコーヒーが8ユーロなんて、法外な価格だ。やっぱり、自分の直感を信じたほうがよいのだ。ちょっとでも居心地が悪かったら、すぐに立ち去ったほうがよい。彼は陽気で楽しい人だった。イギリスで英語の教師をしていたが、随分前に引退して、巡礼は二回目だそう。
 
彼と一緒に宿の受付を一番にした。宿は大型だったが、部屋が細かく分かれていて、キッチンやダイニングルームも広かった。近くの商店で缶詰やインスタントパエリヤを買って食べた。いつもと変わらない午後が過ぎていった。
 
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【13日目】スペイン巡礼 〜Castrojeriz

カミーノ・デ・サンティアゴ

2017/06/16

スペイン巡礼13日目

 
朝起きて支度をして、二階から降りていくと、リビングには朝食が用意されていた。トーストにクッキーにフルーツ。ポットに入った温かいコーヒーと紅茶まで準備されていた。オスピタリオ(管理人)が用意してくれていたようだった。とても有り難い。寄付BOXに小銭を入れて、宿を出た。
 
今朝も空気が乾いた朝だった。暗くて遠くまでよく見えないけれど、川や森が近くないことが肌感でわかる。昨日の続きの、道路沿いをいく。20分も歩くと、次の村Rabeについた。ここもすごく素敵な雰囲気の村だった。村の真ん中に広場があり、噴水もあった。道は綺麗な石畳で、物語に出てきそうだ。いつものごとく、もう少し我慢して歩けばよかった・・と後悔。
 
そしてこの日、ついにMESETA(メセタ=何もない大地)と呼ばれる、地域に突入した。San jean pied de portを出発してから12日間、地形の起伏も激しかったが、緑が多く日々景色が変わり、見るものすべてが初めてで楽しい道を歩いてきた。だが、これからの5日間は、そうではない道が始まる。
 
巡礼路を歩いた人によると、このメセタ地域は、とにかく「何もない」そうだ。永遠かのように乾いた平坦な道が続く、そんな道。巡礼者によっては、この道をバスでスキップする人もいるようだが、真面目で欲張りな私にはそんなことはできない。この800kmをすべて歩いて、楽しみつくしたい。そんな気持ちだった。
 
目の前には、地平線まで、そしておそらくその地平線の先もずっと、麦畑が広がっていた。そしてその真ん中を突っ切るように一本道が続いている。遠くに白い風力発電のプロペラがいくつも立っている。歩いているうちにそれがどんどんと近づき、その大きさに驚き、下からプロペラを見上げ、そしてその横を通り過ぎ、どんどんと遠くになり、小さく見えなくなっていく。だけど前を向き先を見つめると、また新しいプロペラが地平線の先に見えてきて、どんどん近づいてくる。その繰り返し。 
 
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通りすぎたプロペラはいくつになるんだろう。振り返ると下から見上げてその大きさに圧倒されたプロペラが、もう地平線に隠れて見えなくなろうとしている。それにしても、どこまでいったら終わりが見えるのだろうか。
 
ドラえもんの「魔界大冒険」に出てくる、魔界の森に似ているな。どこまでいっても同じ景色に見えて、進んでいるようで、ぐるぐると同じところを回っていた。そんな気分。
 
途中、Hornillosという何も特徴のない、店も何にもない村を通り過ぎると、また同じような景色のっだだっぴろい麦畑に突入した。もうかれこれ15km以上はこのような同じ道を歩いていた。
 
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どこかのだれかがブログで書いていた、素敵な村が次の目的地。それを目指して、無心で歩いた。そしてついに、このだだっ広い大地に終わりが見え、まるでオアシスのような可愛らしい村が現れた。Hontanasだ。
 
村の入り口に雰囲気のよいカフェがあった。庭には芝生があり、テラスで巡礼者たちがコーヒーを飲んでいた。私もサンドイッチとカフェコンレチェをオーダー。テラスで思わず靴を脱ぎ、休憩。本当に心地の良い村。このカフェはAlbergueも併設しているらしく、できることならここに泊まりたい。そんな雰囲気。
 
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だがしかし、今日はとっても大切なミッションがあるため、もう少し頑張らなくては。思い腰をあげ、村を通過し巡礼路を進んだ。
 
だだっ広い大地を抜けると、畑の中のあぜ道をゆくようなルートだった。山間の民家の前に小さな菜園があり、その中を突っ切るイメージ。のんびりとした風景が続く。そのうちにまた車の通る道路脇の道を歩き、時々遺跡のような壊れかけた古い石造りの建物の横を通った。
 
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ジリジリと照りつける太陽を避けるように、木陰と木陰の間を走ったりして、少しでも暑さをしのごうとした。空は真っ青で、スペインらしい気候の中で、スペインの田舎を歩くという理想の光景の中に自分がいる。幸せだ。
 
そして、やっとの想いで、今日の目的地Castrojerizについた。これはある意味ミッションだった。日本にいるときに友達なった女性Aさんの友達のスペイン人( 日本在住)Bさんの、そのまた友達Cさんが経営している宿に泊まりに行くということだった。ちなみに、わたしはAさん以外は会ったことがない。こんな状況の中でだが、せっかくなので訪ねてみることにした。Cさんの経営するAlbergueは、ちゃんとマップにも載っていた。と、まずは村の入り口のカフェをビールを一杯飲んでから。(恒例)
 
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CさんのAlbergueは村のはずれの方にあった。結構入り組んだ場所にあり、わかりずらかったが、うろうろしていると発見した。受付にいたのが、Cさんなのか尋ねると、なんとCさんだった!ややこしいので、BさんのFacebookを見せながら事情を説明。するととても驚いて喜んでくれ、大歓迎してくれた。
 
このAlbergueの最高なところは、大部屋にして初めてのシングルベットだったこと!もう痛い足を引きずって二段ベッドの上に上がる必要はなし、下の人のことを気にしないでよいのは最高だった。キッチンもダイニングも広くて素敵だった。近くにレストランはなさそうだったので、夜は久しぶりに宿でいただくことにした。
 
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午後、CさんにAlbergueの経営について少し話を聞くことができた。このAlbergueのビジネスは3年ほど前に始めたそうで、案外うまくいっているそうだ。オープンしているのは、4月〜10月までで、ピーク時の6月〜9月は休みが1日もなく、満室でフル回転の日が続くそう。11月以降の冬季休業ときは、世界旅行をしているとのこと。日本にもBさんに会いに何度もきたことがあるとのこと。なんだか、理想的な生活だな。寄付で成り立っているようなイメージもあるAlbergueも一つのビジネスとして、成り立つんだと発見。
 
夜、宿に泊まるみんなで食卓を囲んだ。メニューはCさんの手作りパエージャ!本格的に鉄板で作ってくれるのだ。ワインでみんなで乾杯をしながら雑談。なんと日本人の男性もいた!道中で日本人にあったのは、これが初めてで久しぶりに日本語で会話をしてみる。なんと、お年は75歳で、一人でカミーノに来たとのこと。カミーノのトレーニングのために、四国のお遍路さんも二回歩いたという、とってもバイタリティのある、エネルギッシュなおじいちゃんでした。元気をもらえた!
 
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食事のあと、ダイニングに残っていた巡礼者数人と、Cさんと、Cさんのお友達と、ワインで乾杯した。ウクレレを持ちあるている女性が弾き語りをはじめ、みんなで歌った。Cさんは自分のバンド活動もしているらしく、ギターも弾くそうで、ウクレレで一曲弾いてくれた。なんだかいつもと違って楽しい夜。
 
いつもより夜更かししたけれど、明日も早いので23時頃にはみんなでおやすみを言って、それぞれの部屋に帰っていった。すごく素敵な思い出がまた一つ増えた。

 

 

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【12日目】スペイン巡礼〜Tarajados

カミーノ・デ・サンティアゴ

2017/06/15

スペイン巡礼12日目

 
2017年6月15日
Obanaja-Tarajados
 
今日はBurgosまでのたった10kmなので、すこし寝坊して出発するつもりだった。が、いつもの早起きが身体にしみついて早く起きてしまった。もう一人泊まっていた女性は、もう出発していた。もう一眠りしようとウトウトしていると、急に下の扉をドンドン叩く音がした。飛び起きたものの、ドンドン叩く音は鳴り止まない。Albergueのオーナーは別の住まいがあるのか、この建物内にはいないようだ。ということは、私がたった一人。いつまでたっても、叩く音は鳴り止まない。恐る恐る起きて、下まで降りてみる。ドアの鍵をそっと開けてみると、同じ部屋に泊まっていた女性だった。携帯を充電したまま起き忘れたとのこと。そりゃ大変。「ムーチョグラシアス!」と何度も言いながら出て行った。
 
Albergueの管理人は夜は自分の家に帰るので、建物は夜間は自動ロックがかかり、外へ出て行くことはできるが、一回でたら入れなくなることが多い。中には、鍵も外からかけられて、朝も管理人がくるまで鍵が開かないところもいくつかあった。何か室内で事件でもあれば、巡礼者は中に閉じ込められたままだ。そう考えるととても怖い。
 
寝坊するつもりが、ある意味事件で起こされてしまったので、しぶしぶ支度を始めて出発した。朝も空気は乾いていて、今日も暑くなりそうな予感がした。
 
Burgosまでは、大きな道路沿いを歩いていく。時々トラックなども通り、結構大きな道路だ。最初は草原の中の大通りを歩いていたが、そのうちに建物が増えてき大通りに入った。工場や、大型の車屋や家具屋、電気屋、飲食店もある。ブリジストンの大きな工場もあった。車も多く通り、高速道路の上も横切った。ここまで街中になると、バックパックを背負った巡礼者は明らかに浮いていた。
 
そしてあっという間にBurgosの街についた。ホタテのマークを見失わないように、街中を進んだ。目的は、カテドラルと言われる大聖堂。旧市街に入ると、古くて歴史のある建物が並んで、巡礼者の私でも歩いていて違和感がなくなった。お店もいっぱいあって、賑やかだ。建物が入り組んでいても、カテドラルの特徴的な三角の屋根が見えた。お腹も空いていたけれど、まずはカテドラルに行ってみよう。
 
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表に回り、写真を撮ったら見学に。巡礼者手帳を見せると、拝観料が割引になる。バックパックをロッカーにあずけて、いざカテドラル内に。大きな屋根の大聖堂の中は、たくさんの祭壇があり、その装飾の煌びやかさと、細かさとら美しさに目を奪われた。ミサの時に座る椅子に座り、みんな上を眺めている。素敵な光景。どれを見ても彫刻がとても細かくて見入ってしまう。いろんなキリストの物語が描かれていて、どれも引き込まれてしまう。世の中の美しいものを、この聖堂内で一気に見れてしまったみたい。
 
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カテドラルを出ると、なんだか現実に引き戻されてしまったかのような感覚。午前11時には観光し終わってしまって、なんだか時間を持て余してしまった。よし、次に進もう。そう決めたらスーパーでお水を買うと、早速歩き始めた。
 
街を外れると、すぐに田舎の道に出た。高速道路と高速道路の間の、整備された草むらの中を進む。厳しい日差しが、私の体力をジリジリと奪っていった。
 
身体からダラダラと流れる汗と、身体に合わないバックパックのせいですごくイライラしていた。 忘れていたけれど、この時には45リットルのバックパックが自分の身体に合わなさすぎて嫌気がさしていた。なんとかして、バックパックを買い換えたい。そのことばかり考えていた。
 
性格の悪いイギリス人が、これまた悪口と愚痴を叫びながら、追い越して行った。世の中にはいろんな人間がいるもんだ。改めて思う。
 
もう無理だ。干からびながらたどり着いた小さな村のAlbergueにチェックインした。女性が一人で管理している、小さな宿だった。到着するなり、フルーツジュースを出してくれた。二階の部屋を案内してくれてたが、部屋は蒸し暑く、冷房がないため、窓を開けていた。荷物を置いて、洗濯をして、道を渡った先にある小さなバーに昼食を食べにいった。ビールとハンバーガーを頼む。目玉焼きとベーコンをサンドしただけのハンバーガーは、4.5ユーロだったけど、なんだかとっても美味しかった。店内では、地元の人間だと思われる男達が新聞を読みながら、世間話をしていた。時々大声で笑い、店の亭主の女と喋っていた。のんびりとした暑い午後がすぎていく。
 
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近くの小さな商店で缶詰とパンを買って帰った。宿のポーチに小さなベンチがあり、夕方そこに座って涼んでいると、一人のアジア人女性の巡礼者がやってきた。彼女は身体中虫さされて赤くただれていた。理由をきくと、寝袋についたダニ”Bed bug”が原因だそうだ。宿の管理人の女性が寝袋を調べて、寝袋を洗濯して乾かすようにアドバイスしている。巡礼中の宿のベッドには、布団はない。マットレスがビニールで覆われているところもあれば、布のままのところもある。明らかにダニがいるんだろうな、と思いつつ、寝袋からあまりでないように気をつけて寝ていたのでダニの被害にはそんなにあっていない。だが、これだけ人が毎日出入りする宿で寝ているんだもの、ダニの被害に合わない方がおかしい。と、自分がラッキーだったことを棚に上げて、アジア人がだるそうに寝袋を洗う姿をぼんやりと見ていた。

 

 

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