スペイン巡礼 フランス人の道 2017

32日間かけて、スペイン巡礼フランス人の道を歩きました!

【20日目】スペイン巡礼 〜Saint Martin

巡礼20日目

 
パラドールの素晴らしい朝食ビュッフェをいただいたあと、A子さんにお別れと感謝を伝えてLeonの街を出発した。パラドールのすぐ横の川を渡ると、巡礼路のスタートだ。
 
ちなみにパラドールの朝食は、日本のハイクラスホテル並みにレベルが高い。前菜、メイン、パン、デザートまでものすごいたくさんの種類があるので、ついつい、欲張ってお皿にいっぱい盛ってしまう。給仕のスタッフの方も、テーブルまでコーヒーを入れに来てくれたりと、サービスは抜群。なので朝食だけで20ユーロは納得の価格。朝食なしの宿泊プランを選んでも、初めてパラドールに宿泊する人はパラドールのサイトの会員登録をすると、朝食が1回無料でついてくる。そんなお得情報を知っているのも、さすがA子さんだ。
 
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美味しい朝食をゆったりといただいたので、今日の出発は8時を過ぎていた。今までで一番遅くスタートしたかも。Leonを過ぎて、だんだんとサンティアゴへのゴールが見えてきた。そんなに急がなくても大丈夫、という余裕がでてきたのかも。
 
しばらくは道路沿いの歩道をゆく。歩道はせまく、時々車道を歩いたりした。そのうちに車道をはずれ、巡礼者用に整備された歩道をゆく。今日も道が二手に分かれるが、最短距離を選んだ。巡礼路沿いには、時々韓国語で書かれた紙が置かれている。ホタテマークがなく、迷いそうな時には必ず置いてあるので道に迷わなくてとても助かった。クリスチャンの多い韓国の巡礼者の優しさに感謝した。
 
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途中、とても寂れたサービスエリアのようなところを通った。長距離トラックが多数駐車されていて、おそらく運転手が利用するであろう簡易的なレストランがいくつかあった。陽も高くなり休みたかったが、パスした。こういった巡礼中に出会った退廃的な風景が記憶に残っていることがたくさんあった。写真に撮るほどの景色でもないので、もちろんないのだが、ずっと記憶に残っていたりする。
 
そのうちに農業用の用水路の脇の一本道をひたすらに歩いた。日陰はまったくない。用水路の水は豊かで、流れもはやい。ここに浮き輪でも浮かべて乗って、流れていきたいと心底思った。一人だと暑さでだれそうなので、ドイツ人とイタリア人のおじさんグループと歩いた。ほとんど英語が喋れないので、お互いに母国語でしゃべっている。おそらく完璧には通じ合っていないが、仲良く4人で歩いているようだ。その姿が微笑ましくて、可笑しい。
 
今夜はSaint Martinという、国道沿いの小さな村に泊まることにした。おじさんたちのグループについて、一番最初に見つけたAlbergueにチェックインすることにした。ここには小さな芝生の庭に大きなビニールプールがあった!人気のAlbergueらしく、私たちが受付するとすぐにComplete(満室)になったよう。ラッキー!
 
洗濯をして、受付にあるバーでビールを飲んでから、プールに入ってみることにした。午後14時、気温は38度!そんな最適の環境で、プールにダイブ!!!つめたーい!プールには葉っぱや虫も浮いていたけど、気にしない。しばらくのんびりと、まるでリゾート気分で水に浮いていた。
 
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そのうちに太ったおじさんが入ってきて、私と同じようにビニールプールの淵に身を任せようとしたところ、「ばっしゃーーーーん」と後ろにひっくりかえって大量の水とともにプールの外に転げ落ちた。テラスや芝生でその光景を見ていた人は、大爆笑。私もプールの中で一瞬なにが起こったかわからなかったけど、吹き出した。芝生に寝袋を干していた人は、寝袋が水浸しになり大迷惑。管理人もやってきて大爆笑し、水の減ったプールに継ぎ足してくれた。
 
夕方、100メートル位先にある小さな商店に食材を買いに出かけた。缶詰やパンを買い、小さなカフェでアイスを買って歩きながら帰っていると、しばらく一緒に歩いていた巡礼者の男性が巡礼路とは反対方向に行くバス停で待っていた。顔が暗いので理由を聞くと、なんとクレデンシャル(巡礼スタンプ帳)をレオンのAlbergueに置いてきてしまったそうだ。この村のAlbergueにチェックインしようとしたところ、失くしたことに気がついたらしい。災難すぎる。クレデンシャルがないと、Albergueに泊まれないのはもちろん、今まで頑張って歩いてきた証拠が全部なくなってしまう。もちろん、サンティアゴについても、巡礼証明書は発行してもらえない。わたしたちにとっては、パスポートと同じくらい大事なものなのだ。彼はとてもショックを受けていて、なんの慰めの言葉もかけようがなかった。「必ず見つかるよ」と言って、彼と別れた。
 
車通りの多い国道沿いのAlberugueは、夜中までトラックの通り過ぎる乾いた音が絶えなかった。きっと今頃外は満天の星空なんだろうなと想像しながら眠った。

【19日目】スペイン巡礼 〜Leon

巡礼19日目

 
今朝もA子さんと出発。今日は巡礼道中に通過する3つ目の大都市、レオンに到着する予定。こんなにゆっくりと、そしてゆったりとした気持ちで歩くことは、今までなかったかもしれない。距離を進むことに執着すると、やっぱりどこか心に余裕がなくなり、周りの景色が見えにくくなっていたかもしれない。急ぐことで見逃してしまった景色があるかと思うと少し悔しいが、今は今でまた美しい景色を眺めながら歩いて満足していた。
 
 A子さんはとても物知りでおしゃべりなので、歩きながら色んなことを話し続けてくれる。聞くことの方が得意なわたしには都合がよい。あるとき、A子さんはスペインの教会について教えてくれた。大都市の大聖堂を除き、スペインの田舎町の教会は少し形が変わっている。レンガ造りだったり、三角屋根があったり、一番上に避雷針みたいな鋭利な鉄骨がついていたりするのは見慣れていた。が、よく見るとおもて面の壁部分だけは下から見上げると圧迫感があるほど高さがあるが、その壁の向こうは平家建てなのだ。むかしむかし、教会が市民に対して威厳を保つために、おもて面だけ高さのある壁を建てたそうだ。
今ではその高い壁の上は天敵のいない一番安全な場所となり、大きな白い鳥が大きな巣を作ってのんびりと座っている。こんなにたくさんの教会をみてきたのに、そんなことに気づく余裕もなかったのか。
 
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途中、大きな川をいくつかわたり、川のない橋も渡った。地図上にない新しい村で、朝食をとった。みんな今夜はレオンに泊まる予定らしく、そんなに距離がなく急がなくてもよいのでのんびりと朝食を取っていた。わたしたちもゆっくりとコーヒーを飲み、クロワッサンを頬張った。
 
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大都市が近づくにつれ、大きな車道沿いの道を歩くことになる。高速道路の横を通ったとき、金網にたくさんの十字架が張り付いていた。巡礼者が木片で作っていったものだ。道中にはこういった光景がいくつかあったが、改めてこんなにまじまじと見たことはなかった。ゆっくりと歩くと、小さな発見がたくさんある。
 
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A子さんが突然、ある驚きの提案をしてくれた。「わたしはレオンで歩き終わるから、記念にパラドールに泊まるのよ。ツインルームだから、よかったらあなたも泊まらない?」思ってもみない提案だった。せっかくの滞在を邪魔してはならないと思ったが、結局お言葉に甘えさせていただくことにした。
 
パラドールとは、スペイン国営のホテル。お城や修道院を改装して経営しているものが多く、歴史的建造物に宿泊することができるのだ。国内で100件近くあるパラドールは、庶民が泊まれる値段のものから高級なものまで本当に様々。レオンのパラドールはどんなだろう。たのしみ。
 
レオンの街は、聞いていたとおり大都市だった。ビルもお店も多く、何よりそんな現代的な街中を歩く巡礼者が不釣り合いだった。しかし何百年もの間この街を通過してきた巡礼者を街の人は全く気にしない。当たり前の風景なのだ。
 
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世界的にはあまり知られてはいないが、レオンにはガウディが作った建物がある。若いころの作品のようだ。バルセロナにある有名な作品ほど遊び心はないが、やはり公共の建物にしては装飾が細かく個性的だ。まるで絵本に出てくるような。
 
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まずは大聖堂を目指す。雑貨店、薬局、銀行、ブティック、土産物屋、レストランなどが立ち並ぶおしゃれな道を進む。観光客や巡礼者でとても賑わっている。そして広場に出ると、大聖堂は堂々とした姿で建っていた。
 
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大聖堂の中に入ると、「うわぁーーー」と思わず上を見上げてしまう。壁から天井にかけて四方向全てにステンドグラスがはめられている。そこから差し込む光で、室内はとても明るかった。みんなミサの時に座る椅子に座り、熱心に上を眺めたり写真を撮ったりしている。
 
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よく見るとひとつ一つの窓で模様が違い、キリストの物語のワンシーンを表しているものがあった。ブルゴスの大聖堂は装飾がとても細かったが、レオンの大聖堂はステンドグラス以外は石造りでとてもシンプルだった。こちらの方が後の時代に作られたので、技術が進んでステンドグラスが採用さたそうだ。本当に美しい。
 
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大聖堂を出て、目の前のカフェのテラスに座り、ビールを飲んだ。本当に贅沢な眺めだ。中も美しいけど、わたしは外観も素敵だと感じていた。何もない広場に堂々と建っている姿に魅了された。
 
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街を一通り見たら、パラドールに向かった。大聖堂のある街中からは少し離れていて、15分くらいは歩いたかな。大きな川沿いの広場に、その建物はあっていた。遠くからみても、その豪華は建物がそれだとわかった。建物の外壁の装飾がとにかく細かく、石造りだが人の顔なども掘られている。豪華だけど、上品な印象だった。まさに宮殿。
 
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入り口から中に入るとフロントがあり、その先に赤い絨毯が敷かれた階段があり、壁には大きな人物画や絵画ががかけられている。まるでお城みたい!広い中庭もあり、その回廊は今までみたことがないくらい素晴らしく美しかった。全て石造りで、天井にかけて石で組まれた装飾もとても細かい。上品で落ち着く空間だ。朝起きて、こんな素敵な回廊を歩きながら中庭を眺められたら、なんて贅沢なんだろう。
 
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お部屋は一階にあった。広いツインツーム!なによりも、ちゃんとしたマットレスのあるベッドで一人で眠れるなんて!ずっと二段ベッドの上部分で寝起きしてきたわたしにとっては、この一晩をここで眠れることが何にも代え難くありがたい。バスタブもある!A子さんの後に、約半月ぶりにバスタブに浸からせていただいた。やっぱりお風呂は最高だ。
 
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夜は、A子さんと巡礼仲間の日本人のお友達とレオンの街に繰り出した。レオンはバーが有名な街で、一晩で何件ものバーをはしごして楽しむのがコツ。福岡でスペイン料理のレストランを経営していたらご夫婦と、カメラマンの男性と合流する。A子さんは本当に顔が広い。
 
ここでカミーノらしい出来事が起こる。以前からバックパックが合わなくて辛いといっていたが、なんと今日初めて出会った夫妻のご主人Bさんもバックパックが合わないというのだ。そして、日本に帰国予定のA子さんがここにいる。よし、みんなでバックパックをトレードしよう。
 
 まず私の大きすぎる男性用バックパックをご主人にあげる。→ 次にご主人Bさんのバックパックは弱々しくサイズも小さいので、A子さんにあげる。 → で、A子さんの30リットルのモンベルバックパックは、私がサンティアゴに着くまでお借りする。完璧!
 
こんな都合の良すぎることが、こんな完璧なタイミングで起きてしまっていいのかと思うくらい、ミラクルだった。まさに、カミーノマジック!
 
一気に意気投合したところで、一軒目のバーに向かった。ここはスペインの伝統的な味を大切にしているお店で、ご主人Bさんのセレクト。さすが、レストランをしていたこともあって、味にはこだわりがあるよう。お酒を一杯頼むと、一品ずつおつまみが付いてくる。それが日本でいうお通しレベルのサイズではなく、普通にアラカルトを一品頼んだ時と同じくらいの量がお皿に盛られている。しかもいくつかの料理から選べるので、4人で行ったら違う種類のものを選ぶとそれだけてテーブルが一杯になってしまうほど。こんなに食べてお酒一杯分の料金だけでいいの?!なんだか申し訳なくて、アラカルトをもう1、2品頼んだら、もうテーブルに乗らない!たのしいぞ、レオン!
 
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二軒目は、広場の近くの人気店。カメラマンのDさんも合流し、賑やかに。21時過ぎになって、街中がバーホッピングする人たちであふれている。でも日の入りがまだであたりは明るいのでなんだか不思議な感じ。店は混んでいそうでも、店員に声をかけると、すぐにテーブルを開けてくれる。ここで初めて食べたのが、大きなピーマンの素揚げ!日本でも素揚げはたべれるけど、味と食感が全然違う!他にもいい感じに臭みのある腸詰などをオーダー。そこに、Dさんの巡礼仲間たちともバッタリあって、さらに盛り上げる。カミーノでは、みんながみんな、それぞれの出会いがあるんだな。
 
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 三軒目は、一本路地を入ったところの、地元の人で賑わうバー。観光客の人が行くような雰囲気では全くないのだけど、人が入れ替わり立ち代わり入ってきて混み合っている。こんなところに入れるのも、スペイン語が話せるご主人Bさんのおかげだ。赤ワインをボトルで頼み、もう一度乾杯。メニューのない店で、オススメを聞いて、まだまだ食べる。値段は聞かない。ここでご主人Bさんの素敵なお話を聞いた。小さなころにゴッホのヒマワリの絵を見て、一瞬で引き込まれてしまい、そこからずっとスペインの虜なのだそう。毎年スペインに足を運び、本場の味を知って、日本に帰って開いたスペイン料理店は大成功する。ここスペインの地で、そんな夢のある話を聞けて、嬉しかった。直感や、シンプルにワクワクする気持ちは大事にした方がいいのだ。そこから道は開ける。カミーノも教えてくれている。
 
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そろそろ日も落ちてお開きにしようか。時間は12時を回っていた。お会計でその金額にびっくりする。あれだけ食べて飲んで、値段は一人8ユーロほどだった。地元民のお店だからかな?心配になりそうなほど破格!やっぱり、レオン最高!
 
 
 
 
日が落ちる、レオンの街並み。真っ赤な夕陽が通りを包んだ。本当に素敵な街だったな。また帰ってきたい、スペインの大好きな街の一つになった。
 
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【18日目】スペイン巡礼 〜Mansilla

巡礼18日目

 

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夜明け前に宿を出る。村の周りにホタテマークが少なかったため、見失わないように慎重に進んでいると、「エクスキューズミー」と声をかけられた。発音から日本人だとわかった。「おはようございます。」と声をかけると、「日本人ですか?」と安堵の声で質問された。
 
A子さんは、一人で巡礼に来ている60代の日本人女性だった。この暑さで大丈夫かな?と心配になってしまうほど、細くて小さな身体でだった。やはり体力に自信がないそうで、バックパックはキャリーサービスで次の村に運んでもらっているそう。でも心はとってもアクティブ。
 
数年前からカミーノに行きたいと思っていて、1年前に初めて歩きに来たそうだ。その時は最初の数日でもう歩きたくなくなってしまい、途中のメセタをバスにスキップして、また途中の町からサンティアゴまでを歩いたそう。が、やはり全てを自分の足で歩いていなかったことに後悔と心残りを感じ、1年後の今年はバスを使いパスした部分だけを歩きにきたそうだ。なんとなく気持ちはわかる気がする。
 
昨日の瞑想から一期一会の出会いを大切にしようと決めたので、今日はA子さんと一緒に歩いてみることにした。A子さんのペースに合わせる形で、初めて日本人と会話をしながら歩いてみた。日が登れば一緒に眺め、珍しい植物があれば「これはなんなのか?」ということで話しあった。時間が過ぎるのがとても早い気がした。
 
A子さんは元々学校の先生だったということで、とても物知りだった。スペインやカミーノの歴史についてもとても詳しく、こちらに来る前に色々と勉強して色々な知識があった。わたしなんかより、ずっと。こういった話を聞いていると、何事もリサーチが大事だということだ。
 
途中、通りかかった村で朝ごはんを食べた。いつものトルティージャとカフェコンレチェ。A子さんは、卵焼きでサンドされた野菜サンドイッチとオレンジジュース。ここのトルティージャもとってもボシュームがあって美味しかった。サンドイッチも初めて食べたけど、野菜たっぷりでとっても美味しい。
 
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今日は比較的ゆっくり歩き、お昼にはMansillaの町についた。町の入り口に、巡礼者を模した石像が置いてあった。疲れてうなだれる男の像と、石段に倒れこむように寝そべる男の像。本当によく巡礼者の心情を表しているなと思った。サンティアゴまであと300km・・・。それでも、よくここまで歩いてきた。
 
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今夜はA子さんと同じアルベルゲに泊まることにした。受付を行う部屋には、巡礼者の写真や手紙、ホタテがたくさんぶら下がっていた。ラフな格好の女性達が事務的にスタンプを押してくれた。
 
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一階には広いキッチンとダイニング、大きな中庭があり、簡易的なシャワールームがいくつかあった。何よりも驚いたのが、寝室のある二階に続く階段が傾いているのだ。平衡感覚が奪われる、不思議な階段だった。
 
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荷物を置いてシャワーを浴びると、ビールを飲みに出かけた。一杯頼むと、小さなボール型のコロッケがついてくる。これが美味しいのなんのって。
 
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シエスタに入ると町中の店が閉まってしまったが、オーガニックの食材店だけは開いていたようだ。A子さんが買ったKONBUCHAは、梅味だった。
 
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夜もA子さんとペリグリノメニューを食べにレストランへ。チキンのプレートに、ワイン。デザートにアイスクリームが出てきて、8ユーロ。
 
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 レストランには幼稚園生か小学生の子供達がたくさんいて、テレビを見ていた。お客さんがいるのに、店内は子供達で騒がしい。こういうところもスペインらしくていいのだ。巡礼は折り返しを過ぎ、あと10日ほどで終わってしまう。1日1日を大切に、楽しみ尽くして歩いていこう。
 

【17日目】スペイン巡礼 〜El Burgo Ranero

巡礼17日目

 
夜が開ける前に宿を出る。次の村まではわりと距離があった。農地の中の小道を進む。背の高いススキのような植物に阻まれながらも、夜明け前の薄水色の空を眺めなら散歩するような気持ちだった。昨日の気の遠くなるような長距離をこなせた自分に自信がついたようだ。
 
今日はレオン州に入る。ついにカミーノも半分まできた。長かったようで、もう半月も歩いているなんて信じられないような・・。毎日必死に歩いてきた。
 
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3時間ほど歩くと、SAHAGUN(サーグン)という町が遠くに見えてきた。ここは比較的大きな町で、牛追い祭りでも有名な町。パンプローナ牛追い祭りで有名な本場だが、スペインには他にもいくつかそういった有名な町があるそうだ。
 
サーグンの町中まで、大きな車道がまっすぐに伸びている。が、なぜかホタテマークと黄色い矢印は、道を逸れて右の方向を指していた。ん?右に進むと明らかに農地の真ん中を通るルートに行くようだ。サーグンの町に行くなら遠回りになる。
 
さらによーく見ると、道路のコンクリートに直進の方向を指した矢印が消された後がある。どっちにいったらいいんだろう。迷っていると、おじさんの巡礼者が、「右に行くのは新しい迂回ルートだ。あっちに教会があるんだよ。けど、教会に寄らずにサーグンの町に行くならこっちのまっすぐな道がいいよ。」なるほど。
 
おじさんについてまっすぐのルートを行くことにした。しばらく歩いて振り返ると、さっきのポイントでやはり巡礼者が一度止まって地図を見返したりしている。推測だが、迂回ルート上の教会に巡礼者を訪れさせようと、新しくカミーノルートを修正しているようだ。
 
町に近づくにつれて、なんだか町が閑散としていることに気づく。車の整備工場や、車が置かれていない車の販売店などが立ち並んでいるが、建物が古く寂しい雰囲気だ。もちろん人気もないので、ゴーストタウンのよう。大きなホテルもあったが、パーキングには大きなバスが1台駐車しているだけ。とても牛追い祭りで賑わうとは思えない。
 
町の中心地に入ると、牛追い祭りの準備なのか、通りに柵などの準備がされているようだった。残念だが、祭りは今日ではないようだ。が、祭りがあったとしても、なんだがこの町に滞在する気は起きなかった。
 
巡礼者で賑わっているカフェがあったので、ここで朝食をとることにした。日本にあるパン屋さんのように、美味しそうなクロワッサンやサンドイッチや菓子パンなどがガラスケースに並んでいた。大きな揚げパンと、カフェコンレチェをオーダー。お店の女の人はとても愛想がよく、店が混み合っていることを詫びて、笑顔でオーダーを取っていた。日本の接客サービスのようで、なんだかホッとした。
 
サーグンの教会では、距離の証明書を発行してくれる。フランス人の道でいうと、ちょうど半分あたりなので、「半分歩きました」という証明になるようだ。入り口で3ユーロ寄付すると、中で証明書を発行してくれるそう。なんだか途中で万が一歩けなくなったときの保険のようで、私はパスした。
 
サーグンを出発すると、道が二手に分かれる。一方の道を行くとBercianosという村につき、もう一方に進むとCalzadillaという村につく。前者は比較的整備された道を進み、後者は整備されていない農地の中をゆく道だ。
 
私は前者をゆくことにした。 高速道路沿いの道をひたすら進む。こちらの道の特徴は、とにかく面白いものが一切ないということ。景色も代わり映えない、コンクリート道路。途中、高速道路の高架下の日陰で休憩し、また何もない道を歩く。こんな日もある。
 
今夜はEl Burgo Raneroという村に泊まることにした。最初に選んだAlbergueはすでに数人が受付待ちをしていた。大きな庭があって、プールもある。よさそうだ。受付が始まると管理人が出てきたが、スペイン語でわめき散らし、なんだか怒っているようだ。一人の巡礼者がスペイン語で話しかけるも、相手にしていない。様子がおかしいことに気づいた巡礼者の数名は、ここのAlbergueをやめて他のところにいくことにした。もちろん私もそのうちの一人。雰囲気の悪いところで一晩も過ごしたくない。
 
次に選んだのは、公共のアルベルゲ。こちらもオープンまでにあと1時間ある。バックパックを置いて、受付を待つことにした。ちょうど道の反対側に商店があったのでビールとスナックを買って、アルベルゲの前のベンチでランチにした。ベンチの下には猫がのんびりと昼寝をしていた。日差しは強いがおだやかな午後。
 
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アルベルゲがオープンすると、ボランティアの女性達が受付をしてくれた。ここは藁が混ざった土壁の古い建物で、ものすごく質素な作りだった。正直心配ではあったものの、女性達の親切な対応で、ここにしてよかったと心底思った。1階は広いダイニングとキッチンがあり、二階に寝る部屋があった。二段ベッドに案内されると、その建物の簡易的な作りに驚かされる。室内の壁ももちろん土壁なのだが、天井は木材の柱がむき出しで、天井というより屋根だった。もちろん冷暖房の設備はないのだが、こんなに外は日差しが強いのに、中はそこまで暑くはなかった。土壁のおかげなのかな?
 
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夕方、ヨガのインストラクターもしているという女性が、みんなで瞑想をしようと呼びかけてくれた。ダイニングのテーブルと片付けて、下に毛布を敷いて座り、みんなで瞑想をした。瞑想のあとは、一人ずつカミーノに来た理由や、歩いてみて感じた気持ちなどを話した。「誰も否定しない」のが、たったひとつのルール。
 
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みんなカミーノに来た目的は、ほんとにそれぞれ。リアルドラクエ的アドベンチャーを求めてきたわたしも、スピリチュアルな体験がしたくて来た女性も、家族と楽しい旅行がしたくて来た親子もみんなこの道のおかげて今日こうやって出会えた。そしてこの時間を共有している。一期一会ってこうゆうこと。

【16日目】スペイン巡礼 〜Moratinos

巡礼16日目

 
あの夢のようなパレードの翌日、今日はある意味覚悟の1日だった。というのも、出発してから18km先まで村がないのだ。
 
18km…想像もつかない。地図を見る限り、本当になにもない。道をそれて寄り道もできないほど、なんにもない大地。恐ろしい・・・。
 
気合を入れて出発した。だが、昨日あんまり歩かなかったのにもかかわらず、膝の調子がよくなかった。膝の軟骨がなくなってしまったかのように、歩くと振動が直接骨に伝わりズキズキした。
 
MESETA(メセタ) …それは「何もない大地」。そうだ、これこそがメセタだ。想像通りのメセタ。ほんとうに何もなかった。
 
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地平線の向こうまで、広野が広がっている。渇いた草の生えた草原。まるでサバンナのようだった。一つ違うのは、動物が一頭もいないところ。動物が寄り付かないくらい、水場がなく、渇いた大地だった。時々、枯れた木が命からがら立っているのが遠くに小さく見えた。
 
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一本道には、巡礼者が点々と歩いていた。みな、だまって、一本道の先を見つめながら黙々と歩いていた。スペイン巡礼というとこういうイメージたった。渇いた大地の一本道を一人で歩きながら、ひたすらに自分を向き合う・・みたいな。
 
でも実際は暑くてそれどころではない。どうやったら疲れずに膝を傷めずに歩けるか、あと何kmで次の村に着くのか、ついには、暑い、疲れた、喉乾いた、休みたい・・・もうシンプルな欲しかない。生きるための欲。ある意味、本当にシンプルになってきているなぁと感じる。
 
そして、ついに18kmという長い距離の欲との戦いに勝ち、地平線の先にやっと次の村Calzadillaの教会の屋根が見えてきた。近づくにつれて、村の全貌が見えて来る。ここでもやっぱり村の入り口のカフェに、もはや駆け込むように入った。まずはトイレにいってから、カウンターでカフェコンレチェとトルティージャをオーダー。
 
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このカフェのテラスで食べた、ここのトルティージャが、今回の旅の32日間の中で一番美味しかった。じゃがいもやほうれん草などの具がたくさん入っていて、周りはよく焼けているのに、中がトロトロで今まで食べたことがない食感とボリュームだった。まさに家庭の味。疲れすぎていて、写真がないのが残念だった。
 
もうここに泊まってしまおうか、とやりきった感がいっぱいだったが、次々と出発していく巡礼者に感化され、重い腰を上げた。
 
メセタを抜けると、静かな車道沿いの道に出た。見慣れた青い花が咲き、いつもの調子を取り戻した。7、8kmほど歩き、目的地のTerradillosという村に着いたが、なんとなく雰囲気が怪しく、ぱっとしない。みつけたAlbergueはオープンしているようだが、人気がない。庭もテラスもあるようだが、ウロウロしていると、中から巡礼者数人がぶつくさと言いながら出てきた。
 
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事情を聞くと、「ここのアルベルゲはよくない。wifiもないようだ。きみも次にいったほうがよい。」という。やっぱり。なんだか雰囲気が良くないと思っていたが、みんなも感じていたようだ。もうヘトヘトだったが、みんなに少しスナックをもらい、お水を満タンにして、出発した。
 
こっからもやっぱり日陰のない、農村の道だった。数人で出発したが、みんなのペースが速くて、置いて行かれた。こういったとき、巡礼者は他人のペースに合わせたりしない。そこが私にとっては気軽だった。もう少し先の村まで行こうと思ったけど、風が強く、Moratinosという村でストップすることにした。村、といってもバー兼Albergueが一件しかない。
 
新しくてきれいな建物で、こんな草原の真ん中に建っているのが少し違和感があるほどだった。でも私にとっては、砂漠にみつけたオアシスの宮殿のようだった。受付をすると、すぐにもう一人巡礼者が入ってきて、彼女によるともう次の村のAlberugueは全て満室らしく、この村でストップしたそうだ。よかったー。ケータイが使えない私にとって、歩いているときはそういった情報が手に入らないので、いつも運に頼るしかなかった。
 
案内された部屋は、まるでホテルのようなきれいさだった。巡礼中に泊まったAlbergueの中では、ここがダントツ一番だった。だからこんな辺鄙な場所にあるのに、宿泊料も少し強気だ。(といっても10ユーロくらいなんだけど・・)
 
可愛らしい白い壁の部屋に、シングルベッドが2つと二段ベッドが1つ。私が1番だったので、迷わずシングルベッドを選んだ。マットレスが厚くて、ふかふか。だけど、もちろんその上に寝袋を敷いて寝る。シャワールームもホテルのような設備で、きれいだった。1階にはリビングルームもあり、大きな白いソファーがあり、ライブラリーもあったので、くつろぎながら本を読むこともできた。なんて素敵な環境!午後はここでゆっくり過ごすことに決めた!
 
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シャワーを浴びたら、1階のバーのテラスでビール!うんまい!よく歩いた1日だったので、ご褒美は格別だった。庭には芝生もあり、まだ先に進むつもりの巡礼者も靴を脱いでくつろいでいた。バーに立ち寄る巡礼者に、「ここの宿は最高だよ!」とおすすめをした。
 
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宿にはキッチンがなかったので(スーパーもないので、食材も手に入らない)、夜はバーで久しぶりにペリグリノメニューを頼んだ。サラダとパンと牛肉のシチュー。そしてワインは飲み放題!食事をとっていたのは、私一人だった。
 
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テレビのニュースでは、ポルトガルの山火事のニュースがやっていた。スペインと同じく渇いた大地が広がるポルトガルでも、一度山火事が起こると一気に広がってしまう。家を失った人たちは、涙ながらにインタビューを受けていた。ここも午後になってから風が強くなり、夕方には強風になり窓や扉がガタガタというほどだった。そんな中、宿の管理人の中年夫婦は、外でタバコを吸っている。あの灰が飛んで行って、周りの渇いた草に飛び火したらと思うとヒヤヒヤした。窓の外を見ると、空が夕焼けになりつつある時間になってもまだ次の村を目指して歩く巡礼者がポツリポツリと風に吹かれながら歩いていた。ワインで酔っ払った私は、彼らを止めることなく、ぼんやりと見つめるしかなかった。
 
 
 
 

【15日目】スペイン巡礼 〜Carrion

巡礼15日目

 
朝宿を出発すると、まだ月が出ていた。あたりは静かで、Fromistaの町の教会が幻想的に見えた。
 
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大きな道路を渡るときに早速迷いそうになったが、周りの巡礼者が教えてくれた。今朝はすこし遅く出発したから、歩き始めるとすぐに日の出を迎えた。空が一瞬にしてピンク色に染まり、神々しく姿を現した太陽に手を合わせた。
 
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今日の道は二手に分かれている。結局は同じ道につながるのだが、農道をゆく道と、車道沿いをゆく道。カフェで朝食を取りたいので、村を通過する車道路沿いの道を選んだ。するとそこには、ホタテマークを表すコンクリートの目印が、これでもかというくらいに並んでいる。これはいったいどうゆうことなのか。近いところでは、5メートルごとに並んでいる。ホタテマークを見失ってウロウロする日もあれば、しつこいほどに並ぶ日もあるんだね。それにしても、ピンクに染まる景色が美しい。
 
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道沿いによくあるこの青い花を咲かせる植物が好き。うっすらと蛍光に光っているようにも見える。このほかにも黄色い花もよく咲いていて、疲れたときに癒された。花の周りには蜂や蝶も多く飛んでいて、日本では日常的に動植物を見ていないことに気づかされる。
 
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今日の行程はたった19.3km。なのに、果てしなく長く思えた。結局カフェには寄らずに歩き続けた。絶妙に高低差がある道をゆく。トイレにも行きたいのにゆけず。
 
お昼近くになってやっとCarrionの町に到着。ここは教会の町でいくつもの修道院があるようだった。一つ目のAlbergueのある修道院Santa Claraはまだオープンしていなかった。次に目指したSanta Mariaもまだオープンしていなかったが、こちらの方が町中にあり雰囲気も良かったのでバックパックを置き、順番に並んだ。
 
町の大きな通りに入るなり、今日がお祭りであることが一目でわかった。というのも、町中の道ところ狭しと、花びらの絨毯が敷かれている。これがものすごく鮮やかで配色も模様もきれいで、こんな光景はもちろん生まれて初めて見た。町中がまるでディズニーランドみたいな雰囲気!
 
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その模様をよーく見て見ると、花びらではなく、染色された藁のようだった。とにかく、町中に敷かれていて、模様も全て違っていた。人々は、そのカラフルな絨毯を壊すまいと、絨毯の脇の細い道を慎重に歩いていた。ので、もちろん交通渋滞も起こっていた。
 
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話を聞くと、今夜はCorpus Christiというキリスト教のお祭りで、この鮮やかな絨毯は全て、修道院のシスターと町のボランティアの人たちによって敷かれたものだそうだ。こういった伝統を守ったり、それを毎年盛り上げて後の時代につなげていく努力をしている方たちには本当に頭があがらない。たまたま今日この日にこの町に立ち寄っただけの一観光客が、なんの準備も手伝っていないのにこんなに楽しませてもらっていいのかな?という気持ちになるくらい、本当に準備に時間と労力がかかっていそうなお祭りだ。
 
午後12時丁度になると、町中の教会の鐘が鳴り響き、ミサが始まった。多くの人がおしゃれをして、教会に集まってきた。教会は満員だった。男の人は正装をして、女の人は色鮮やかなワンピースを着ていた。どれ一つ同じ色や形のドレスはなくて、みんながみんな自分の好きな色を着て、それでいて似合っていた。太陽のように鮮やかな色は、スペインの国そのもののようだった。
 
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ミサが終わるとパレードがスタートした。音楽隊を先頭に、スペインの伝統的な模様のあるタペストリーを持つグループや、たくさんの花が飾られた十字架や、金色の装飾がされた大きな箱を大勢で担いだグループが、次々に歩いてきた。小さな子供たちも、伝統的な衣装に身を包んで、緊張した表情で列に加わってあるいている。
 
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このパレードは、あんなに綺麗に敷かれた鮮やかな絨毯の上を歩いてゆく。大勢の人が歩くので、絨毯の模様な壊され、色が混ざって、そしてさらに鮮やかになっていく。このためだけに労力をかけて用意された花道が、パレードというこのお祭りの大トリが最大限に輝く瞬間を作っているんだという刹那的な醍醐味もあるんだと感じた。
 
花道沿いの家々の二階からは、花びらが巻かれ、最高の瞬間を演出していた。まるで中世の時代にタイムスリップして、パレードを見ている村人一味になった気がした。そんな夢のような光景だった。
 
こんなすばらしいものを見せていただいた、この旅に感謝した。1日でも滞在がずれていたら、見れなかった光景。本当にラッキーだった。
 
そして、パレードの最終集団が去ったその10メートル先には、清掃車が待機しており、人々が歩いてぐちゃぐちゃに乱された鮮やかな絨毯を一瞬のうちに回収して、あとには何も残らなかった。本当に刹那的。
 
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【14日目】スペイン巡礼 〜Fromista

巡礼14日目

 
お世話になったCさんの宿を後にし、今日も朝4時半には宿を出た。真っ暗な中、ヘッドライトを頼りに、野っ原の中の一本道を進む。遠くにテーブルマウンテンのような、岩の壁がそびえ立っていた。Mostelaresという山だ。あそこを越えたら何がみえるのかな?それが見たくてワクワクする。空気が涼しく、足取りも軽い。
 
上り坂に差し掛かると、草むらで何か動物が動いた!一瞬足が止まり、じっとしていると、また草むらで何かが動いた。ゆっくりと足を進めると、野ウサギが急に飛び出してきた。こちらもびっくりしたが、ヘッドライトに照らされた向こうはもっとびっくりしただろう。野ウサギは一匹だけではなく、次々に何匹も草むらから現れた。私を先導してくれるように、道を上へ上へとぴょんぴょんかけていく。わたしもそれを追うようにずんずん進む。
 
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真っ黒だった空が、うっすらと紺色に変わり、そして地平線と空の境がだんだんと水色に変わってくる。一歩一歩進むごとに、ゆっくりと、確実に空の色が変わってく。まだ月が白くポツリと光っていた。
 
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坂を少し登り、振り返っては、空の変わるのを眺め、そんなふうにしてテーブルマウンテンを登っていった。坂道は岩の壁をぐるりと沿うように続いていて、登るたびに日の出が岩で見えなくなりそうになる。朝日が登るその瞬間までに、頂上にたどり着きたい。そんな思い出足取りは急いだ。
 
そしてちょうど頂上につくかつかないかくらいに、あたりが一瞬にしてピンク色に染まった。世界がこのやわらかで、あたたかで、幸せなピンク色につつまれた。すばらしく美しかった。
 
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夜が完全にあけて、世界が目を覚ました。朝日とは反対の方向を振り向くと、地平線まで果てしない広野が続いていた。だーれもいない大地に、わたしがたったひとり。世界はわたしのもの。
 
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そこからはまたひたすらに一本道を進んだ。景色が変わらず、目印もないので、どこまで進んだのか、自分がどこにいるのかがわからない。10kmほど歩くと、やっと広野を抜けた。
 
途中、Boadollaという小さな村に着いた。が、ここが今まで経験したことがないほどに、雰囲気の悪い村だった。家々はボロボロで、通りには誰もいない。だが、洗濯物が干してあったりと、人が暮らしている雰囲気があった。カフェもあったが、パス。こんなところで朝食は取りたくない。
 
 村のはずれにさしかかったころ、古い牧場があった。馬糞の臭いがきつく、簡易的な柵に囲まれた広場には荒々しく暴れる馬が二頭いた。さっさとこの場を離れようと足早に通り過ぎようとしたところ、なんとその馬のうちの一頭が暴れて柵を越えて道路に飛び出してきた。近くにいた巡礼者二人も驚いて、一緒に逃げた。が、馬の足にかなうはずがない、すぐに追いつかれた。近くで見ると馬は見上げるほどに大きく、こんなものに一 蹴りされたらおそらく大怪我だ。緊張しながらそっとあとづさりすると、馬も落ち着き、なにもしないで通りすぎていった。本当に怖かった。なんて村だ。 
 
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村を抜けると、日差しが厳しくなったが、日影がまったくない道に入った。街路樹もあったが、葉が少なく、まったく木陰にならない。
 
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そのうちに農業用の水路沿いの道に出た。水がたっぷりと流れる水路は果てしなく続いていて、木陰はやっぱりなかった。水路の向こうには、機械で綺麗に耕された農地が広がっていた。汗が滝のように流れ、強烈な日差しに肌を刺され続けている。つらい。
 
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こんなときだが、日本にいる祖母の誕生日が近いとのことで、自撮りでバースデーメッセージ動画を撮影した。最高に厳しい環境の中で、最高の笑顔で、スペインでの生活を伝えたつもりだ。喜んでもらえただろうか。
 
どれくらいあるいただろうか。ついに本日も目的地、Fromistaの村についた。水路をにかかる小さな橋を渡り、最後の力を振り絞って進む。村にたどり着いたはよいものの、Albergueは13時にオープンするとのことで門の前にバックパックを置いて、村を散策してみる。たまたまあったイギリス人の男性と一軒のバーに入り、今日は珍しくカクテルを飲んだ。喉がカラカラだったのと、汗で塩分が体からなくなっていたので、さっぱりとした甘い飲み物が沁みた。
 
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彼も例の怪しい村でカフェに入り、散々な思いをしたようだ。店員は愛想が悪く、コーヒーとトーストで8ユーロも取られたそうだ。スペインでコーヒーが8ユーロなんて、法外な価格だ。やっぱり、自分の直感を信じたほうがよいのだ。ちょっとでも居心地が悪かったら、すぐに立ち去ったほうがよい。彼は陽気で楽しい人だった。イギリスで英語の教師をしていたが、随分前に引退して、巡礼は二回目だそう。
 
彼と一緒に宿の受付を一番にした。宿は大型だったが、部屋が細かく分かれていて、キッチンやダイニングルームも広かった。近くの商店で缶詰やインスタントパエリヤを買って食べた。いつもと変わらない午後が過ぎていった。
 
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